本当に知りたい接種率は?

ワクチンの一般接種が開始されてから、首相官邸のホームページにワクチン接種に関するデータが掲載されるようになりました。毎日毎日の接種数が報告されていますが、最近は何となく物足らない感じがしてなりません。というのも現在最大の関心事である、高齢者以外のワクチン接種がどのくらい進んでいるのかをストレートに表すデータがないのです。特に国民全体ではなく、各都道府県ごとに、接種対象者となる12歳以上の人口に対しての接種率や、さらに言えば高齢者を除く12歳以上の人口に対する接種率に関しては皆目見当がつきません。

というのも、今や65歳以上の高齢者は、どこの都道府県も9割前後の接種率となりほぼ打ち終えていると思われます。そして重症化の中心は、高齢者から中年世代に移っており、死亡する年代も50代が最多となっているからです。医療のひっ迫という観点からも、可及的速やかにてワクチン接種を行わなければならないのは50代、40代であり、その進捗を知りたいと思うからです。

しかるに、官邸ホームページの掲載内容はむしろ薄くなってしまいました。過去の官邸ホームページ記載のデータは政府ポータルの方に移動してしまいました。ということでとりあえずわかる範囲でデータをそろえてみました。まず都道府県別の接種率ですが、これは首相官邸ホームページから接種回収がわかりますので、あとは都道府県別の人口さえわかれば計算できます。今年の1月1日の住民基本台帳をもとにした人口データで接種率を出しました。

上のグラフはいずれも1回目の接種率で上が8月1日現在、下が9月13日現在です。この間随分と進展しました。全国平均で約26%、国民の1/4以上に接種したことになります。赤棒は、人口当たり感染者の多い上位10都府県です。8月1日の段階で、こうした感染拡大地域にこそ、集中的に接種を推進するべきではないかと主張しました。

全体的に見ると、感染拡大地域の順位は今もって下位が多いのですが、東京、福岡はずいぶん順位を上げました。千葉、愛知、沖縄も順位を上げています。想像するに東京は大規模接種や職域接種の恩恵を受けた度合いが大きかったのではないかと思われます。続いて2回目接種率について同様に示します。

基本的には1回目と同じです。2回目についても全国平均で約25%アップしました。1回目2回目とも国民の1/4づつ接種をうけたということは、この8月1日から9月13日までの43日間で国民の半数と等しい接種数であったということになります。国民の半数は約6330万ですので、この間一日あたり150万回近く接種されたことになります。

人口あたり感染者の多い上位10都府県における、8月1日から9月13日までのワクチン接種の進展についてまとめた表を下に示します。

緑で色付けした枠は全国平均を上回っている箇所です。こうしてみると東京はこの43日間で1回目、2回目とも30%ほど伸ばしており、平均を大きく上回る進展がありました。

次に、なんとか64歳未満の人口に対する接種率を計算してみました。全国の値は、首相官邸ホームページの表からすぐに計算できて、65歳未満の人口に対しての接種率は、1回目が54.4%、2回目が37.9%と計算されます。

しかし、都道府県となるとやり方は原始的で、都道府県別の接種数と人口それに高齢者率から、高齢者人口と高齢者以外の人口、さらには高齢者以外への接種数を計算して、最後に高齢者以外の接種率を計算しました。本当は12歳以上65歳未満の人口がわかればよかったのですが、力尽きました。

ここまで計算はしてみましたが、高齢者率のデータが少し古いため、各都道府県の合計と政府が発表しているデータと差異がでました。そこで微修正せざるを得ませんでしたので、データの正確性という意味では不確かさが増えてしまいました。まあ、ないよりもはマシという程度で見てください。首相官邸のホームページから計算した数値よりも全体に低めです。

おおまかに見れば、並んでいる順位は高齢者も加えたデータとそう変りないかもしれません。というのも高齢者の接種割合はほぼ9割前後で大きな差がないからです。従って接種率の差は基本的には高齢者以外の年代に対する接種率の差ということになるからです。

しかしながら、1回目も2回目もトップと最下位の差は、都道府県全体の人口に対する接種率よりも拡大しています。つまり高齢者の接種率の均一性よって、それ以外の年代における差異が目立たなくなっているのです。

ここで大切なことは、下位の府県においてはまだ1回目が4割程度、2回目が2割台というところがあることです。ニュースでは連日、日本全体で国民の半数が2回目を打ち終えたと言っていますが、高齢者を除けばまだ2回目を接種した人が、全体で3人に1人程度、県によっては4人に1人程度しかいないというところもあるのです。加えて、自治体へのワクチン供給は10月打ち切りという通告もされているようです。昨日の国会答弁で、田村厚生労働大臣は、対象年齢の9割にあたるワクチンを10月初めまでに供給できると答えていましたが、それに加えてその量が接種希望者全員に対して十分であり、接種スケジュール的にどのくらいまでで完了できるという確固たる見通しを示すべきだと思います。「希望者全員」がいつの間にか「対象年代の8割」に変わっていたような説明では納得できません。