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かんとこうブログ

2024.04.09

あなたは何歳まで働きたいですか?

ネットで調べものをしていた時に、ふと「あなたは何歳まで働きたいですか?」というタイトル目に入りました。気になって読んでみるとなかなか興味深かったので、似たような調査がないか調べるといくつか見つかりました。この質問「あなたは何歳まで働きたいですか?」に対する答えは年代や性別でもかなり変わるようです。こうしたいくつかの調査結果と高齢世代の就労実態を併せてご紹介したいと思います。

最初は若者世代の回答です。転職サイト「エン転職」が、同サイトの利用者4521名に回答を求めた結果「社会人4500人に聞いたキャリアプラン意識調査」(下記URL)の結果です。まず年代別の結果です。

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/36541.html

   

年代別の内訳はわかりませんが、20代、30代と年代別にまとめてあります。20代、30代では65歳を超えて働きたいと考えている人は少なく、20代で20%、30代で27%です。70歳を超えて働きたいという人はさらに少なく、20代で8%、30代で10%に及びませんでした。この割合は40代になると一挙に増加します。一方男女別では以下の結果でした。

男性に比べて女性は早めに仕事を止めたいと考えている人が多いようです。

同様に20代、30代に対する調査結果を別な調査で見てみましょう。「シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント」というタイトルの調査で、高齢者とともに若者世代にも調査を行っています。

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2023/

   

上図の左が20代、右が30代で経年調査の結果を示しています。この調査では、早くやめたい方の割合が数値で示されていますが、図の上部の「就業終了の希望年齢」の平均は、どちらも年々低くなってきており、2023年の調査では20代で57.6歳、30代で61.7歳となっています。また70歳を超えて働きたいという人(図中の赤線より上の部分)は20代、30代ともさらに少なく10%をわずかに超えるにすぎません。

これに対し、この調査のメインである高齢世代の就業者の回答は65歳を境として激変します。下図をご覧ください。

図中の右側は71歳を超えて働きたいという人たちの割合を数字で示していますが、年代が55~59歳、60~64歳までは20代、30代より増えこそすれさほど大きく違いませんが、年代が65~69歳就業者になると一気に増加します。これはアンケートの対象が現在就業中の人であるため、早く退職したいという人たちは65歳以上ではすでに働いていないであろうことが大きな要因かもしれません。

右端の数字が仕事をやめる就業終了の希望年齢の平均ですが、2023年の数値で55~59歳では68.1歳、60~64歳では69.8歳、65~69歳では73.5歳と年齢とともに上昇しており、20代の57.6歳.、30代の61.7歳と比べるとかなり高い年齢になっています。

高齢層の調査結果をもう一つご紹介したいと思います。リクルートの「シニア層の就業実態・意識調査2023 【個人調査・企業調査 ピックアップ】」(下記URL)という調査結果です。 

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2023/

   

これは60歳~74歳までの男女の就業者に何歳まで働きたいかを聞いたもので、各年代、男女それぞれ1000人ずつの回答結果となっています。グラフだけを見ると70~74歳が最多となっていますが、その下の表に注目してもらうと各年代とも、今から5~10歳先まで働きたいという意志が見えると報告書ではまとめています。まあ、「もうしばらく働きたい」ということなのでしょう。
   
それでは実際の就業状況はどうかと言えば実は意外に高いことに驚きます。内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版) 第3節 <特集>高齢者の経済生活に関する意識(2)2 就業の状況」(下記URL)の令和元年の調査結果でによれば、就業率は65歳~69歳男子で60.1%、女子で38.0%、70~74歳男子で41.7%、女子で35.5%となっています。この数字は年々上がっているようですので、今ではもっと高いものと思われます。これはあくまで収入のある仕事をしている人の割合ということであり、週に何日働くかということは不明です。
   
   
   
「あなたは何歳まで働きたいですか?」のまとめ ①若い人ほど早く辞めたいと思っている。②男女比較では、女性の方が早く辞めたいと思っている。③高齢の就業者に限定すれば65歳を境に71歳を超えても働きたい急激に上昇するが、それは現在から5~10年先まで働きたいと考える就業者が多いためである。
   
ここでご紹介した報告書には、もっと多角的に高齢者の就業問題について解析していますので、興味のある方は是非ご参照ください。本人の希望と企業の希望とが必ずしも一致していない側面もあるようです。

コメント

私の娘(20代)の友人がで数人の方が転職しているようです。どなたも有名企業に就職していています。娘から聞いた話ですが、自分のやりたいこととは合っていなかった、勤務地が合わない、などの理由があるようです。
このような考えはいつの世代でも持っていたことだと思いますが、年代が高い世代(50代以上でしょうか)では、入った会社で経験を積み、成長していき、いずれは会社に貢献できるようになりたい、という考え方が主流だったと思います。今の若い世代(20代から30代)の方は、日本の経済が低迷した約30年の間に生まれ、氷河期世代(今の40代くらい)の方をみて、育ってきた世代と思います。親からは、学校が「ゆとり教育」をしている一方で、塾に通って勉強し、学歴フィルターにかからないような大学に入り、安定した生活を送るように、と教育された方が多い世代ではないかと思います。そのような教育を受け続け、やっと社会人になったら、年金はもらえるか分からない、自分でキャリアを積んでいかなけらばならない…。いつまで働きつづけなければならないのか、という不安を持ち続け、疲弊していく中で、家庭は持たなくても自分一人で生きていけるようにして(例えば、若いうちに、より年収の高いところで働き、資産運用をして将来の自分の生活資金を作って)、早めに引退したいという願望を持つ方が多くなっているように思います。
今のところ、私の娘は転職は考えていないようです…。
拙いコメントで申し訳ありません。
  • 2024.04.10 22:49
  • Junichi Tanaka

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