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かんとこうブログ

2024.03.13

IEAの「二酸化炭素排出量2023」報告書 その2

昨日の続きを書きます。報告書は以下URLよりご参照ください。

https://www.iea.org/reports/co2-emissions-in-2023

   

今日は第4章からです。第4章の表題は「進国の排出量は50年前の水準まで低下」です。 なんと先進国の排出量が1973年の水準であったというのです。早速グラフで確認したいと思います。

   

   

左の図は先進国の排出量の推移です。2007年を頂点に劇的に減少しています。この事に関しては「先進国の排出量は、2023年に約4.5%減少し、50年前の1973年の水準よりも減少しました。先進国の排出量は2007年以降構造的に減少しており、他の時期における景気停滞や恐慌とは異なり継続的に減少しています。また、2023年の減少は、景気後退期を除けば、先進国の排出量として最大の減少率を表しています。」と説明しています。

   

その排出量減少に最も貢献しているのが石炭から排出の減少で、右図にその推移が示されています。以下説明を引用します。「先進国では、再生可能エネルギーと原子力による発電量が総発電量の50%に達し石炭の割合は17%という低水準に急落しました。電力部門におけるこの変化は、先進国の石炭需要を、1900年頃以来、大恐慌の短期間を除いては見られなかったレベルにまで押し戻しました。2007年のピーク時以来、石炭需要は半減しました。」

   

石炭以外のCO2排出量の増減要因を下図に示します。左がEU、右が米国です。

   

   
左図のEUでは、水力発電、原子力発電の回復、再生可能エネルギーの導入、産業界の排出削減が主な減少要因ですが、温暖な気象も減少に味方しました。右図の米国では石炭からガスへの切り替えが排出削減の最大貢献要因であり、再生可能エネルギーの開発や温暖な気象条件も排出減少に貢献しています。一方で国内総生産の増大、水力発電不足はマイナス要因でした。
  
こうした先進国での排出削減の一方で、新興国ではなかなかそのようにはいかなかったようです。第5章では、二大人口大国である中国とインドの状況が報告されています。第5章の表題は「エネルギー集約型の経済回復と悪天候が相まって、中国とインドでは排出量が増加」です。
   
   
   
報告書から引用します。「2019年から2023年にかけて、GDP成長率は中国で平均4.6%、インドで4.1%でした。2023年、両国はそれぞれ5.2%と6.7%のGDP成長率を記録しました。しかし、両国、特に中国では、Covid-19パンデミックの影響を受けた期間の経済回復は、かなりエネルギー集約的でした。~中略~ 両国ともパンデミック後にエネルギー原単位の改善が鈍化し、中国では2023年にエネルギー原単位が悪化しました。」
   
ここでエネルギー原単位と言う指標が使用されていますが、このエネルギー原単位とは原油換算円エネルギー使用量を生産数量その他エネルギー使用量と密接な関係を持つ値で除した数値のことです。わかりやすく言えば、ある一定のエネルギーでどれだけ生産できたかを示す目安で、エネルギー基準の生産効率とも言えます。このエネルギー原単位が悪化するということは、技術の進歩を考慮すれば通常あり得ないことであり、コロナ禍からの回復が相当無理をして推進されたと想像されます。この傾向は中国、インドだけでなく、他の新興国も同じ傾向にあります。
   
   
左が中国、右がインドの変動要因解析です。中国に関しては「水力発電の悪化と経済再開が中国の排出量増加を押し上げた」と書かれています。具体的には水力発電が十分にできなかったこととGDPの成長がエネルギー集約型の産業によって推進されたことを指しているようです。
   
一方インドは少し様相が異なります。水力発電不足は中国と同じですが、加えてモンスーンが大きく影響しています。具体的にはモンスーンが弱く高温多湿の気象となり、冷房に費やすエネルギーが増加してことを指します。このように新興国は前章の先進国とは逆に、2023年は排出量を増やす結果になりました。
こうした先進国と新興国の2極化とも言える状況については、明日第6章でさらに詳しくこの件を見ていきたいと思います。

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