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かんとこうブログ

2023.07.12

為替はお互いの国の通貨量で決まる!?

2024年5月7日追記

最近この掲載記事にアクセスが増えていることがわかりました。円安が進んでおり関心が高くなったためと思われます。一方で、この記事は今読み返してみると通貨の総量をマネーストックとして話を進めていますが、正しくはマネタリーベースのと為替レートの推移を対比して考えなければならなかったことがわかりました。本掲載記事の結論としては、マネーストックと為替レートの間には特に関係は見いだせないとしていますがそれは当然です。

従って本掲載記事を読んでいただくのは時間の無駄にもなりかねませんので、よろしければ改めて書き直したマネタリーベースと為替の関係についての記事(下記URL)を読んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

「為替はお互いの国の通貨量で決まる」の続編 | かんとこうブログ | 関東塗料工業組合 (kantoko.com)

このところまた円安に振れているようです。こうした為替レートの変動は日常的に起きているのですが、そもそも為替レートは何によってきまるのかということなのですが、要因がたくさんあって門外漢には理解できていません。ですが、安倍内閣で内閣官房参与を務めた高橋洋一氏によると、「理論的には、為替レートは両国の通貨の総量の比率で決まる」とのことでした。今日はこの「通貨の総量の比」について調べたことをご紹介します。最初にお断りしておきますが、この理論はこの10年を見る限り実際と合致しているとは言えませんでした。

それでは、そもそも「通貨の総量とは何か?」から始めたいと思います。こういう時こそChat GPTの出番なので聞いたみました。答えは「国の通貨の総量は、通常、中央銀行によって管理されています。通貨の総量は、流通している現金(硬貨と紙幣)の合計と、銀行の預金残高(通常、商業銀行が持つ準備預金)の合計を指します。」ということでした。

通貨の総量はマネーストックとも呼ばれ以下のように区分されているようです。(日本銀行の資料から加筆・転載しています)

簡単に言えば、M1が紙幣や貨幣と金融機関に預けている預貯金の合計額で、M2はM1に準通貨とCD(譲渡性預金)を加えたものですが、郵貯銀行など一部の金融機関は除外されます。準通貨とは定期預金と考えてください。M3はM2をすべての金融機関に拡大したものということになります。金融資産でも投資信託や国債などは通貨には含まれません。

それではこのM1~M3の通貨量というのはどのくらいの量なのでしょうか?まずは日本のM1~M3の推移をご覧ください。(出典は日銀の時系列データ検索サイト(下記接続先)です。2013年1月から2023年1月までの推移です。2023年1月時点のM1は1072兆円、M2は1232兆円、M3は1587兆円でした。M2とM3の差は主にゆうちょ銀行の貯金によるものと思われます。

日本銀行時系列統計データ検索サイト (boj.or.jp)

推移は見ての通りですべて単純増加になっており、この10年で2013年を基準にするとM1は195%に、M2は149%に、M3は139%になっています。M1が最も増加していますがこの内訳は現金と預金です。この両者の推移は以下のようになります。考えれば当たり前ですが、現金(紙幣+貨幣)の総量は100兆円に過ぎず、預金がこの10年間で倍増し、1000兆円近くになっています。

以上で、この10年間の日本のマネーストックの推移はわかりました。

一方世界のマネーストックはというと実はアメリカのM3のデータが見つかりません。ChatGPTに聞いても知らないと言っていました。想像するに日本のゆうちょ銀行や農協や信用組合にあたる金融機関がないのかもしれません。

仕方がないのでM2を調べてみました。主要国のM2の推移は以下のようになります。金額はすべて2023年1月現在のものです。すべて$換算された数字になります。

ところでこのM2の推移ですが、実は日本の数字が日銀データに比べて大きすぎるので、改めて比較し直すと、ここで表記されているM2は実質M3であることがわかりました。(下図)つまりこの海外の統計では日銀発表のM3がM2として扱われていました。

これで一応各国の通貨総量が揃ったことになりますので、上図の関係を考慮して日本のM3とアメリカのM2を比較したいと思います。通貨総量の比率を計算するには、単純に日本のM3(兆円)をアメリカのM2(兆ドル)で割るだけです。結果はしかし、意外にも現在の通貨総量の比率は円安どころか円高というべき数値になってしまいました。

この結果は、両方の国の通貨総量の増加の割合をみれば当然とも言うべき結果です。この10年アメリカの通貨総量の増え方の方が、日本の通貨総量の増え方よりも大きいのですからこのような推移になって当然です。

ということで、調べた範囲のデータでは、為替レートが両国間の通貨総量の比に従うというのは理論としては正しいものの実際の為替の変動には必ずしも当てはまるものではないということになりました。

素人の生兵法のため、消化不良の感は否めませんが、なにかの参考になればと思います。

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