「製造業景況感 コロナ前回復」と見出しがついた日銀短観ですが・・

昨日、2021年3月の日銀短観が発表になりました。今朝の朝日新聞の見出しは表題に挙げた通りですが、これはあくまで大企業の話です。サブの見出しは「非製造業は改善鈍く」となっており、飲食・宿泊サービス業をはじめとして非製造業は12月発表の数値からあまり改善されていないことを意味しています。通例では、製造業よりも非製造業の方が、影響が軽微で回復が早いのですが、感染症による経済影響は様相が異なるようです。

すでにニュース等でも報じられていますが、やはり大企業のDIのみが報じられていますので、まずは規模別のDIからご紹介します。

左の全規模DIをみてもらうと「製造業は回復、非製造業は停滞がはっきりとわかります。青線の12月実積から製造業は大幅に回復していますが、非製造業はわずかな回復に留まっています。

右の規模別も見ても傾向は同じですが、やはり規模の影響は大きく、同じ製造業であっても大企業のDIがプラスに転じていますが、中堅や中小はまだマイナスのままですし、非製造業においても大企業と中堅/中小のDIの差は大きいものがあります。

次の各業種中小企業のDI推移をリーマンショック時と対比してみてみます。基点はコロナ禍が2019年12月、リーマンショック時が2008年9月です。今回の推移の18か月後の数値のみが予測値であり、色を水色に変えてあります。それでは製造業から見てみましょう。

造船・重機を除き全般にリーマンショック時の方がDIの落ち込みが大きいという傾向は変わりません。ただよく見ると、先行きDIが悪化となっているのが木材・木製品、化学、石油・石油製品、窯業・土石、非鉄金属、はん用機械、造船・重機と過半数を占めています。調査時期において感染再拡大の予兆が表れていたことや原油価格が高騰していることなどの影響があるかもしれません。次いで非製造業をみてみます。  

全般的に非製造業が特にコロナ禍で影響を強く受けているという印象はありません。ただし、宿泊・飲食のDIの低迷は突出したものがあります。小売りもずっとマイナスを続けています。逆に情報・通信はこれまでもこれからもDIはプラスを維持しそうです。緊急事態宣言においても、今回の”マンボウ”においても、目に見える形の防止策は飲食店の時短営業しかなく、このようなDIになるのはある意味当然かもしれません。

冒頭の見出しだけみると、製造業はもう景気がもどったのかと誤解される方もいるかもしれませんが、まだまだコロナ禍の収束は見えず、景気は今後どちらへ転ぶかわからない状況であると思います。一にも二にも感染拡大防止とワクチン接種です。結局はそれが経済回復への近道であるように思えます。