Coatings World Top Companies Report 2020 詳報1

7月9日に発表されたCoatings World社のTop Companies Report 2020について、過去のデータとあわせて解析した結果を順次ご紹介していきます。今日はその1回目で全体の動向についてのご紹介です。

速報で書いたように、今年のレポートは2019年度の売りあげランキングであり、全体として大きな動きはありませんでした。ですので、様々な傾向は先日ご紹介した昨年の解析とほとんど変わりありません。それを頭において以降お読みくださるようお願いいたします。まず抑えておきたいのが1億ドル以上の売上を記録した会社数です。世界の塗料需要の推移のグラフとともにご覧ください。

ランクインした会社数は、この9年間でみれば、緩やかな減少傾向にあり、毎年約0.5社減少しています。左の図は、世界の塗料に関する総需要の実績(2015年まで)と予測(2020年まで)です。(Global Paint and coatings Industries Market Analysis (2015-2020) より引用)この間およそ年率5%で成長するとしてます。これが正しいとすれば、ランク入り企業数は増加傾向にあってもよいと思われますが、ランクイン企業が増加しないということは、ランクイン企業においても、M&Aが盛んにおこなわれていることの証左と考えれば理解できる現象ではないでしょうか?この点を別の角度から見てみることにします。

左図は、1-3位の合計、1-10位の合計、1-20位の合計、1-30位の合計の推移を示していますが、いずれも順調に売り上げを伸ばしているように見えます。しかし、上位30社のどの階層が売上げを伸ばしているかを見た右の図では、大変興味深いことに、11-20位の売上合計は、増加ではなく減少しており、21-30位も停滞していることがわかります。左の図で示された全般的な増加傾向は、1-10位の上位メーカーに牽引されたものであることが理解されると思います。またこの11-20位の売上合計の減少も、企業買収によるものと推定されます。4-10位の売上合計も1-3位の売上合計を上回る勢いで増加しており、巨大化傾向がトップ10全体で起きていることを示しています。

似たような見方ではありますが、今度は各ランキング順位の会社の推移を見てみます。各年のランキングの1位、10位、20位、30位にランクされた会社の売上推移を下にしめしています。10位、20位の売上金額は不規則に推移しており、ここでも企業買収の影響が見て取れます。10位の売上金額が2017年度以降下落したのは、ValsperがSherwin Williamsに買収された影響と見て間違いないと思われます。20位の会社の売上金額もむしろ低下傾向となっています。

左の図は、冒頭で示した世界需要の実績と予測です。これをもとに上位1-3位、1-10位、1-20位、1-30位の市場占有率を計算したのが下の図です。先ほど見たように、上位30社の平均増加率は年率5%に及ばないため、上位30社の全市場占有率は、年とともに減少すると算出されてしまいます。1990年代後半から2000年代にかけての市場の寡占化傾向はひとまず一段落したことになりますが、これはひとえに新興国市場を中心とした活発な需要増がもたらしたものとも言えます。1-10位の10社の占有率は、低下したとは言えまだ39%程度と算出されている。

実はIPPICのよる世界需要の実績および予測は少し大きすぎるのではないかと思っています。PPGは投資家向け報告書の中で世界の市場規模は2019年度で1400億ドルとしています。この数値を使用すればトップ10企業の市場シェアは48%程度にまでアップします。

以上全体的な傾向についての解析結果をご紹介いたしました。次回は、トップ10企業の順位動向についてご紹介します。