世界のTOP3の2022年第2Q決算報告 その2

※本記事作成のあと、今年のCoatings WorldのランキングではPPGが1位であることが判明しました。予想を違えてしまいましたが、このまま掲載します。※

今日は2021年度のランキングで2位になるであろうPPGの決算をご紹介します。PPGは第2Qの決算に焦点を当てた短めな資料と、それとは別に経営全般に関する詳しい資料を別に用意していましたので、いろいろと興味深い資料が多かったのですが紙面の都合上、厳選してご紹介することにします。

https://s25.q4cdn.com/953898558/files/doc_presentations/2022/07/2022-PPG-Investor-Overview-2Q-UPDATE.pdf

PPGは端的に言えば増収減益で、それもかなり大幅な減益となっています。Performance塗料(ここでは汎用塗料)の減益は小幅ですが、Industorial塗料の減益はかなり大きくなっています。こうした状況に陥ってた要因としては次の図に示されたものがあります。

昨年後半から続いている原材料の高騰、輸送の混乱、労働力不足、中国のロックダウンなどの余波が残っていたということになります。第3Qに向けてはこうした不安要素が解消される見込みとしています。前年同期比と比較しての増収、減収要因については以下のように分析されています。

増収要因としては、製品値上げが12%、買収が4%、減収要因としては数量減が-4%、為替が-4%となっています。また2020年以降の四半期ごとの売上前年同期比は以下のように推移しており、2021年は2019年と比較しても売上は増えています。ただし、この売上増には、買収による増加も含まれています。(約4%/年)

企業買収に関しては、経営施策の重要な一分野ととらえられており、ここ10年ほどの買収実績が紹介されていました。

ここ10年で費やした買収のための費用は、買収金額が年商金額をかなり上回るとすれば、この図から1兆円前後の金額が投じられたと推定されます。大きなところでは、COMEX、Ennis Flint, Tikkurilaが挙げられています。これらの買収により年平均で4%の売上増が達成されていると説明されています。

自動車や航空機に関してのマーケット資料もありましたのでこれもご紹介します。

左が自動車、右が航空機の需要動向です。航空機は需要の回復が見込まれるとしていますが、自動車はコロナ以前に戻るためにはまだ2‐3年かかるという見通しを示しています。昨日、Sherwin Williamsの説明で、旧バルスパーの工業用は増収増益だと説明しましたが、バルスパーは自動車新車用の塗料を供給していません。自動車生産が世界で2017年比で16%も減少している中で、自称世界一の新車用塗料の供給メーカーであるPPGもかなり影響を受けていることは間違いありません。

自動車についてはさらに電気自動車用に電池用の材料供給を意図していることを窺わせるスライドもありましたが、化学組成など具体的な詳細はわかりません。

最後にサステナビリティ関係ですが、今回は決算資料を見るにあたり特に注目してみていました。ESGに関する資料の枚数は多いのですですが、少し環境に対する取り組みが弱い印象をうけます。

企業の社会責任という点では、女性や人種に関する具体的な目標が定められており、さすがアメリカという配慮を感じますが、環境に関しては具体的な目標の提示が不十分で、炭酸ガス排出抑制の範囲もScopeも2までにとどまっています。また自社の製品についてどれだけ環境負荷を低減していくのかにも言及がされていません。明日ご紹介するAkzo Nobelと比較してみていただければこの差は感じてもらえるのではないかと思います。