ノババックス社のコロナワクチンについて

4月19日にノババックス社のコロナワクチンの使用が認可されました。これで日本で使用できるコロナワクチンは、これまでの3種類にノババックス社のものが加わり4種類となりました。(下表)

毎日新聞社サイトより引用 https://mainichi.jp/articles/20220418/k00/00m/040/177000c?msclkid=50a39afac10711ec9c7496d05d3b670e

こののバックス社にワクチンは、これまでのものとタイプが違い「組み換えたんぱく」タイプとあります。遺伝子を組み替えるようですが、どこの遺伝子をどう組み替えてどんなたんぱく質を作るのでしょか?調べてみましたので紹介します。

中身と作り方の説明の前に、このワクチンの効果と副作用についてのデータをご紹介します。これはNHKのサイトが一番詳しかったので、その内容をまとめたものをご紹介します。

NHKの特設サイトの内容を整理 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220418/k10013588061000.html

変異株に対するデータがありませんが、まずまずの発症・重症化予防効果ではないかと思います。副作用もファイザーやモデルナよりも若干軽めの印象があります。特に発熱がとても少ない印象があります。ここはニュース等で専門家がさまざまにコメントしていますのでこれ以上の言及はしません。

さて本題に戻って、このノババックス社のワクチン、これまでのファイザー・モデルナのm-RNAワクチンと何が違うのでしょうか?時事通信のサイトに良い図がありましたので説明とともにお借りします。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022041800847&g=soc&msclkid=f1286b7dc10111ec839f81fc22ca5658 

どちらも人間の体の中でスパイクたんぱくが認識されスパイクたんぱくに対する抗体ができるという機構は同じです。ですが、そのスパイクたんぱくをどうやって人間の体内に導入するかが違うのです。ファイザーやモデルナは、スパイクたんぱくそのものではなくスパイクたんぱくの遺伝子情報(m-RNA)を入れて人間の細胞内でスパイクたんぱくを合成させるのに対し、ノババックス社の場合には、人間の体外で合成したスパイクたんぱくをそのまま体内に送りこむのです。従って人間の体内でスパイクたんぱくは合成されません。そしてこの方法はこれまでさまざまなワクチンで採用されてきた実績があります。

ではどのようにしてスパイクタンパクを作るのか?これについては、厚生労働省が発表したこのワクチンの説明書に記述がありました。製法と組成についてだけ抜き出して示します。

https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000930649.pdf

この製剤の主成分はスパイクたんぱくで、0.5ml中に5μg含まれています。濃度にすると1/100,000ですので10ppm(掲載当初この数値を誤って1%と記載していました。すみません)となります。このスパイクたんぱくをどうやって作るかということですが、ウイルスの遺伝子を組み替えて、目的とするたんぱく質を作ります。使うウイルスは昆虫を宿主とするバキュロウイルスです。このウイルスは増殖に際して極めて多量のたんぱく質を産出しますので、この性質を利用してたんぱく質の設計図にあたる遺伝子を組み替えて、目的とするコロナウイルスのスパイクたんぱく質を大量に発現させるということのようです。ツマジロサクヨトウというのは蛾の一種で害虫です。この害虫由来の細胞を使用して目的とするたんぱく質を大量に産出させた後は、上で書かれているとおり細胞を破壊して取り出し精製して目的とするスパイクたんぱくが得られます。

このノババックス社のワクチンには、もうひとつ有効成分があります。それがアジュバントと呼ばれる免疫補助剤です。この免疫補助剤というのは免疫作用を高める働きがあるとされていますが、その作用機序は調べきれませんでした。ただ、このアジュバントが組成中のMatrixM(=MatrixA+MatrixC)であり、MatrixMの中身はQuillaja saponaria Molina の 樹皮の特定の部分精製抽出物と保護剤であると書かれています。Quillaja saponaria Molinaというのはキラヤと呼ばれる樹木で良質の界面活性剤であるサポニンが含まれています。このアジュバントの量は先ほどのたんぱく質のちょうど10倍入っています。

バキュロウイルス、ツマジロサクヨトウ、Quillaja saponaria Molinaの説明を下に示します。

遺伝子組替えと言っても人間の遺伝子を組み替えるわけではなく、スパイクたんぱくを作らせるウイルスの遺伝子を組み替えるに過ぎないことが理解していただけると思います。

サポニンによる免疫効果向上作用・・興味をそそられますが、今日はここまでとします。