色が変化する車、BMWから衝撃の発表!

なんとまあ驚きました。1月5日アメリカのラスベガスで開催されているCSE2022で、BMWが色を自在に変化できる車を発表しました。ボタン一つで車の外板色を自由自在に変化できるというこの車、現時点では販売する予定はなくコンセプトカーの域を出ませんが、いろいろな意味でまさに衝撃のニュースでした。今日はこの内容をご紹介します。

まず発表の舞台となったCSE2022ですが、これはモーターショーではなく、電子部品の新技術展示会のようです。この電子部品の展示会で発表されたというのも衝撃のひとつですが、本当に車の外板色を自在に変化させることができるのです。ネットで調べると多くのサイトで報じていましたが、最も情報量が多いと思われたEXCITEニュースのサイト(下記url)から引用させてもらいその内容を紹介することにします。

https://www.excite.co.jp/news/article/Moby_EXCITE185773/image/1/

BMW iX Flowの最たる特徴は、なんといっても外装色を自在に変化させることができるという点にあります。モノトーンカラーであれば、自由に濃淡をつけることが可能。黒い車かと思ったら次の瞬間には白い車へと変化させることもできます。

この車は BMW iX Flow と名付けられていますが、上の写真(BMWのサイトから引用)にあるように、全体一律ではなく、部分的に色を変えることができます。実際にもっとよく見てみたいという方には以下の動画をご覧ください。開始から2’50”から5’10”にこのiX Flowの色変化が紹介されています。

さらに色を変化できることのメリットについて、EXCITE ニュースでは以下のように紹介しています。

外装色が変わることによって得られるのは、高いデザイン性のみにとどまりません。例えば、季節ごとに必要となる冷房や暖房のレベルを引き下げることができます。ボディカラーによって太陽熱の吸収率が異なるのですが、外装が黒ければ太陽熱を吸収するので車内温度は高まります。逆に白ければ太陽熱を反射するので、黒い外装色の時よりも車内温度は低くなります。

エアコンによって消費するエネルギーを削減すれば、それに伴って車の燃料や電気の消費量も減少します。電気自動車であるiXの場合、航続距離を伸ばすことにも繋がるのです。

外装色の変更に用いているE-inkは、同じ色を保つだけであればエネルギーを消費しません。色を変更するときにのみ電流が流れるので、BMW iX Flowは結果的に環境性能にも優れているということになります。

私が受けた衝撃は実はこの部分の方が大きいのです。これまで日本の塗料業界は、高日射反射率塗料の普及に力を注いできました。しかし、夏のメリットに比べ冬のデメリット(太陽光による暖房への寄与が減少すること)のためにある意味限界を感じているところでした。そしてその打開策として最も有望と考えられたのが、温度によって色を変化させる塗料の開発だったのです。気温が高い時には白く、気温が低い時には黒くなれば夏には涼しく、冬には暖かい室内環境の実現に寄与できます。海外での研究例はあるものの、かなりハードルの高い技術であり、実現はまだ先になろうとは思っていたのですが、電子ペーパーという全く想定外の技術でいとも簡単に達成されてしまったことは大変なショックでした。

話が前後しますが、この可変外板色を実現させたのは電子ペーパーの技術です。WXCITEでは以下のように説明されています。

上記説明文中のE-inkというのは会社名であり、もはや電子ペーパーと同義語となっているほどデファクトスタンダードとして採用されている会社のようです。この電子ペーパーについても調べましたのでご紹介します。電子ペーパーについてE-ink社の解説です。

電子ペーパーの特徴は①反射式、②バイステーブルと書いてあります。①は液晶やプラズマが透過光を見ているのに対し、電子ペーパーは反射光をみているので本を紙媒体と同じく目に優しいということであり、②は入力パワーがなくなっても2つの安定位置のいずれかに留まることができる、すなわち変化させる時だけ電力を消費するがそれ以外では電力が消費されないということを意味しています。

では実際どのようにして色を変化させるのかについては、Time and Space by KDDIより引用した図と説明をごらんください。

要約すれば、白と黒の微粒子が入った非常に多くのマイクロカプセルを上下から電極で挟む。白と黒の微粒子はそれぞれプラスとマイナスに帯電されており、電極に電圧を加えて電解をかければ、電界に応じて白または黒が表面側、基材側に分かれて配向する。人間は反射光をみているので、表面の微粒子の色だけが見えるということで容易に色を変化させることができるという訳です。しかも電子書籍に採用されているほど高精細な色分布を実現できるということのようです。

今回BMWが発表した車は白と黒のモノトーンでしたが、電子ペーパーの世界ではすでにマルチカラー化が実現されています。

今度はマイクロカプセルまたはマイクロカップの中にイエロー、シアン、マゼンタの3色の微粒子を入れておき、各色微粒子の位置を制御することでマルチカラーを実現しているとしています。4種類ある微粒子の制御は,各微粒子の帯電量と電圧によって制御しているものと思われます。理論的にはこれを使えば、マルチカラーに変色する車もできることになります。

BMWが販売の予定なしとしているのは、やはりまだ販売するのは解決しなければならない問題が存在しているものと思われます。それがコストなのか耐久性なのかは皆目見当もつきませんが、それにしてもすごい技術が出てきたものです。衝撃の興奮が冷めやりません。