世界のTOP3の第3四半期決算

今日は世界の塗料メーカーのTOP3、Sherwin Williams, PPG, Akzo-Nobelの第2四半期決算をご紹介します。これらの3社はもちろん1-12月決算ですが、その四半期毎の決算の発表は決算期終了後、おおよそ50日~60日の間でなされています。日本はというとおおよそ70日前後というのがふつうではないかと思いますが、こんなところにも世界とは差があるのかと思ってしまいます。

まず、第3四半期および第1~第3四半期の決算の概要を一覧表でご覧ください。データは各社のホームページのInvestors欄から引用しています。ランク1位のSherwin Williamsからです。

各社の表はすべて同じ構成にしています。左半分が第3四半期単独、右半分が第1~第3四半期累積です。上から会社全体、各セグメントの順になっています。まず一目見て、左半分に赤字が多いのに気が付くでしょう。全社および全セグメントとも第3四半期単独では、すべて減益になっています。さらに汎用品を売るアメリカグループも消費者ブランドグループも売上ともども前年比減になっています。やはり原材料高騰による利益への圧迫は相当なものだったと思われます。

一方第1~第3四半期累積の方は幾分かマシです。ただ、消費者ブランドグループの不振が響き、全社累積も減益になっています。工業用塗料を売っている機能性塗料グループが、各セグメントの中では最も売上を伸ばしました。

次はPPGです。

PPGも傾向はSherwin Williamsと同じです。第3四半期単独では「増収・大減益」です。第1~第3四半期累積では増収増益」を堅持していますが、売上増の寄与別要因を見ると、買収による増加割合がかなりあります。数量は微減のようです。

セグメント別では、自動車補修、建築、船舶・防食からなる機能性塗料グループの方が、自動車新車、工業用、航空、包装といった工業用よりも減益割合が小さくなっています。

最後はAkzo-Nobelです。

Akzo-Nobelについては、第1~第3四半期の累積の売上数字の記載がありませんでした。過去の数字をこまめに拾えば出せないことはありませんが、幸い利益の前年比は載っていましたので概要はわかります。ここも、傾向は全く同じです。第3四半期単独では、「増収・大減益」であり、第1~第3四半期累積では「増収増益」になっているようです。

セグメント別では、建築が主体のPaintsと粉体、自動車補修、船舶・防食といったCoatingsとの間で大きな傾向の差はありません。

こうしてみると、いずれも第3四半期は原料価格高騰に苦しみ、利益が前年比で減益となったようですが、いずれも通期では増収増益を達成可能な状況にあります。この中ではPPGとAkzo-Nobelが堅調で、Sherwin Williamsはやや苦戦しています。また来年7月に発表される2021年のランキングにおいては、これまでの様子から、Sherwin Williams、PPG、Akzo-Nobel、日本ペイントの順になろうかと思われます。ただし、Sherwin Williamsの場合塗料だけでなく、塗装用具の売上も大きいので、Coatings Journal誌がそれをどれだけ減額するかによってはPPGと入れ替わる可能性が残されています。

この3社の資料ですが、PPGとAkzo-Nobelはプレゼン資料が用意されているので分かりやすく、興味を覚えたスライドはいくつかあったのでご紹介します。まずはPPGの地域別分野別の市場状況一覧です。

地域の区分はアメリカの会社らしく、北アメリカ、南アメリカ、EMEA(ヨーロッパ・中近東・アフリカ)、アジア-パシフィックとなっています。赤い色は軟調を表しており、自動車新車用は全域で、建築もほぼ全域で軟調となっています。自動車はともかく、建築については昨日ご紹介した日本ペイントやこれからご紹介するAkzo-Nobelとも見解は違うようです。比較的好調な分野として防食や包装が挙げられます。また地域的には南米が比較的堅調となっています。

同じような情報がAkzo-Nobelにもありました。

左の図は塗料出荷数量の回復状況を表したもので、青は主として自動車関係(新車/補修)緑はそれ以外で、自動車の停滞と回復の遅れが明瞭に見て取れます。

右の表は地域別、分野別の売上レベルで、緑が前年比増、赤が前年比減です。LSDは一桁の下%、MSDは一桁の中頃%、HSDが一桁の上%、DDは二桁%であることを表しています。全般にあまり良い市況とは言えないようです。

一方Akzo-Nobelの資料にはやはり地域別、分野別の市況図がありましたが、様子はかなり違います。この図の主眼は、配送の遅延やロックダウンが業況に影響していることを言いたいようなのですが・・

地域区分も先ほどのPPGの区分と同様ですが、アジア-パシフィックを北と南に2分割して全部で5分割としています。PPGとの最大の差異はPaintsと分類される建築用の評価で、南米を除き堅調としています。自動車も一部堅調としていますが、ここで言う自動車は自動車補修のことです。こうした図を作成する際には、あくまで自社の見解ですので、その地域の当該分野での自社の立ち位置によっても見方は変わるのではないかと思いますので、あくまでご参考です。

最後に面白いグラフをお見せします。これは左が原材料価格指数の推移、右がAkzo-Nobel社の価格レベル推移です。「塗料販売価格は第3四半期では年初に比べ9%上がっていますが、まだ原料高騰においついていません」ということをいいたいのでしょうが、原材料価格の指数にしろ、塗料価格の値上げ幅にしろ、具体的な数字を出して公開するのは珍しいのではないかと思います。