自己複製m-RNAワクチンについて

11 月4日 にVLPセラピューティックス・ジャパンがタカラバイオ株式会社とレプリコン(次世代m-RNA)ワクチンの製造委託に関すして基本契約を締結したと同社から発表がありました。

このレプリコンワクチンは、8月25日に、同社の共同研究先の一つである大分大学から、10月から治験を開始する計画であると発表されていました。これまでのm-RNAワクチンと基本的には同じ作用機序ですが、接種後細胞内で自己増殖するため、少量の接種でよく、このため少量の製造量で多くの人に接種できるメリットをはじめ、効果持続期間の長期化などのメリットが期待されているようです。

私の興味はポイントは、どうやって自己増殖能力を付与したのかという点でした。ネット情報を探しましたが、この点についてはほとんどスルーされており、「単に自己増殖できる」という一言で片づけられていました。そんな中でわずかに光が見えたのがこの1枚の図でした。

buzzfeedなるサイトに掲載されたいたこの1枚。レプリコンワクチンの説明が書いてあり、本文にも図の右側の解説内容以上の説明はなかったものの、どうやら図にの中に通常のm-RNA型と自己複製型の細胞内の挙動の差異が書かれているようだとわかりました。残念ながら字が小さすぎて読めません。そこで、図中にあった文献を検索してみたところ、原文が見つかり、もう少し詳しいことが書いてありました。原文の図からお見せします。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1525001619300413 

説明もありましたので,要約してご紹介します。

自己増幅mRNAは、抗原だけでなく、高レベルの抗原発現につながる細胞内RNA増幅に必要なウイルス複製部分もコードする(上図の最上部)。

従来のmRNAは、5′および3′のUtRs端子5′キャップ構造、および3′ポリ(A)尾部抗原(GOI)のコード配列を運ぶ。細胞内に送達され、細胞質に放出されると、mRNAは直ちに翻訳される。

自己増幅mRNAは、多くの場合、αウイルスのようなポジティブセンス一本鎖RNAウイルスのゲノムに由来する。細胞内RNA増幅および高レベルの抗原発現に必要な目的の抗原およびウイルス非構造タンパク質(nsP)(上図の赤枠で囲った部分)の両方をコードする。

自己増幅mRNA自己増幅を指示してRNA中間体および抗原コード化されたサブゲノムmRNA多くのコピーを生成し、高レベルのコード化された抗原を産生する。」

自動翻訳をほぼそのまま書いていますのでわかりにくいかもしれませんが、言わんとするところは理解できるのではないかと思います。つまり「通常のmRNAは抗原部分と細胞取り込みに必要な部分だけをコピーして使っているが、自己複製型は、細胞内RNA増幅に必要なウイルス複製部分(αウイルス NsPなど)もコピーして使っている」ということのようです。

これ以上の説明はありませんでしたが、なんとなく満足できました。説明だけ読むと大したことない技術のように感じるからもしれませんが、実際にこれがワクチンとして働くためには、細胞内にスムースに取り込まれ、その中で間違いなく抗体を産生してもらう必要がありますので、そのための細かな配慮がなされているようです。

このレプリコンワクチン、VLPTジャパン社によると、「日本の全人口にワクチンを接種すると想定した場合、モデルナ製のmRNAワクチンは25kgが必要なのに対し、レプリコンワクチンわずか127gで済む」という。

 「逆にワクチン量127gを基準に計算すると、ウイルスベクターワクチンは6万人mRNAワクチンは60万人に接種できるのに対し、レプリコンワクチンは1億2700万人に接種できる」そうですので、実用化、国産化されれば大変心強い存在になりそうです。