虹はなぜ7色なのか?

虹は7色と学校で習いました。それを少しも疑うことなく長年生きてきましたが、やがて世界では必ずしも7色ではないらしいということを聞きました。それでも特に疑問に思わずにおりました。ところが今回ご縁があり、塗料・塗装工学概論なるものを、学生さんに講義することになりました。講義の時間が1回あたり100分と長く、回数も14回もありますので、それこそ塗料と塗装に関するあらゆることを説明しなくてはと思いいろいろと調べ始めました。

知っているようでも理解できていないことも多く、そのうちの一つが虹がなぜ7色なのか?ということでした。塗料と塗装を語るためには色の話は避けて通れません。色の話は通常、「人間には太陽光のうち可視光域の光しか感知できず、透明に見える可視光もプリズムで分解すると虹のようにいろいろな色に分かれて見える」ということを説明するところから始まります。(下図は教材用に用意したものです。コニカミノルタのサイトから引用しました。)

https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/color/section1/01.html

このことを発見したのはニュートンであることを御存知の方も多いと思いますが、実は虹の色は7色であると決めたのもニュートンなのです。とここまで来て、冒頭の疑問に突き当たるわけです。なぜ疑問に思ったかというと、これも冒頭に書いたように、世界では虹の色の数はまちまちであり、7色よりも少ない場合が多いからです。確かに上の図のプリズムで分解された光を見ても、青と藍は特段区別しなくても良いような気もします。実際下図で示したように、アメリカやドイツでは区別していないのです。

もちろんこれは虹が国によって違う色を呈しているわけではありません。「その色を表現する言葉があるのか、ないのかで虹の色数も変わってくる」と説明されています。(図とともに説明を下記より引用させてもらいました)

https://weathernews.jp/s/topics/201807/240205/

しかし、それだけの説明ではニュートンが7色と決めた理由には不十分な気がします。さらに調べていくとこの疑問を説明している文献が見つかりました。ニュートンが7色に決めた理由は以下のように説明されていました。長々と引用させてもらいます。

「虹が7色であるという概念が定着したのは、1666年にアイザック・ニュートンがプリズムの実験によって発見したとされたことによる。このとき色彩論的にみて重要な分光スペクトルという概念が生まれた。その分光スペクトルを見るとニュートンでさえ藍と紫に識別が難しかったようである。

では、何故6色として扱わず7色としたかというと、当時の宗教の影響が強く反映されたからである。つまり、音楽と色のアナロジーによってその共通性を見出していたのである。音階の7音を当て嵌めると色の7色が釣り合い、ある種のハーモニーを奏でるのである。

ニュートンも音階と色(色相環)との関係付けを行っており、音階がオクターブで調和がとれているように、色もオクターブ(赤と紫が繋がっていること)で成り立っていることを発見している。

神の啓示を受ける情景を、荘厳な音楽で表現したと同じように、7色で彩られる神の誕生を表す絵画が絵の具やペイントなどの色材で表現されたことに起因する。」

東京工芸大学芸術学部写真学科 村上彰氏の「世界の虹の色と色文化との関連」 2012.01.24 より引用

なんと、7色に決めたのは音階とハーモニーを奏でるためであり、その背景には宗教の影響があるというのです。大変興味深いことです。ニュートンの決めた7色が宗教的な関係の薄い日本で継承され、アメリカやドイツで受け継がれなかったのも不思議な気がします。

今度虹を見たらこの話を思い出してください。神の啓示を思わせる荘厳な音楽が聞こえてくるかもしれません。

以上で本項は終わりますが、ここで少し残念なお知らせをしなければなりません。冒頭に書きましたように、今月末から、約4か月間にわたり、学生さんに講義をすることになりました。今までこのブログ作成のために使っていた時間を講義の準備にあてなければならなくなりました。従ってブログ更新は、本業である関東塗料工業組合の事務局長として必要なものに限定せざるを得ず、更新頻度が随分落ちてしまうことになると思います。来年2月以降、講義が終了すればまたもとに戻すつもりですので、なにとぞご了承ください。

これまで訪問していただいた方々に厚く御礼を申し上げるとともに、ここしばらくの間ご理解いただきますようお願申し上げます。