内閣支持率調査への疑問・・なぜ各社の結果がここまで違うのか?

菅首相の退陣にあたり内閣支持率の低下も一つの要因として挙げられていたかと思います。この内閣支持率ですが、日ごろから、調査元によってずいぶん数値が違うことが気になっていました。もちろん国民全部を調べたわけではなく、サンプル数は1000から2000程度の場合が多いようです。統計的には全国民の意向を調査するには約1500のサンプルがあればよいと習った記憶があり、サンプル数の問題ではないと思っています。もちろん、サンプルは無作為抽出されているでしょうし、回答の集計に操作が加えられたとは考えられません。それではなぜ各社で結果が異なるのか?今日はこの疑問に対して調べたことをご紹介します。

まず最初に内閣支持率がどれほど違っているのか見てみましょう。以下のサイトでは各社の調査結果が一覧できましたので、データはそこから引用させてもらいました。全部で9社の2021年1月から7月までの7回の調査結果をお見せします。すべての会社が毎月内閣支持率を調査していました。

REAL POLITICS JAPAN : 世論調査

ざっと見てもらうとずいぶん違っていると思われるのではないでしょうか?例えば上の段の右の毎日新聞と下の段の右のFNN/産経の内閣支持率の調査結果が随分違います。毎日新聞では、7回の調査すべてで不支持が支持を上回っているのに対し、FNN/産経では、1月~4月までは支持が不支持を上回り、その後5月以降は不支持が支持を上回る結果となっています。実は各社の調査時期は月初も月末もありますので、それも考慮にいれる必要があるのでしょうが、今回は無視しています。

もう少し単純化するために、支持と不支持のどちらが多かっただけについて整理してみました。

これを大まかにいうと「1月と2月はほとんどの調査で不支持が支持を上回ったが、3月4月は支持と不支持が拮抗してきて調査結果がばらついた。その後5月以降はすべての調査で不支持が支持を上回った。」ということになります。

すなわち比較的差のある場合には、支持と不支持の関係が調査会社ごとに変わることはないが、拮抗してくると調査会社ごとに支持・不支持の関係が逆転することがあるということになります。

次に、各社調査における平均支持率と不支持率さらに、100から支持率と不支持率を差し引いたもの(明確に意思表示しなかった%)をグラフにしてみました。

平均支持率の最高はFNN/産経の47.6%で最低は報道ステーションの34.3%でした。14.3%の差がありました。平均不支持率の最高は毎日新聞の54.3%、最低はNHKと報道ステーションの42.0%で、12.3%の差がありました。報道ステーションは支持率も不支持率の最低というところが気になります。報道ステーションの回答の特徴は、支持・不支持を鮮明にしなかった人の割合が高いことです。逆にFNN/産経はそうした人が4.9%しかいません。

さらに気になることとしては、抽出したサンプル数に対して、有効回答数はかなり低い数字であったと記憶しています。例えば2000人にあたったけれど回答したもらった人は1000人だったというような感じです。

以上のことから、各社の調査にかなりの差が出る原因としては次のようなことを考えました。

まず考えられるのは、最初に選び出した無作為抽出サンプルは母集団である国民全体を反映したものであったとしても、実際に有効となる回答を寄せた人の集団は、各社でかなり異なっているのではないかということです。つまり、電話なりSNSなりでアンケート調査の依頼が来た場合に、それに回答するかどうかを判断する際に、調査元がどこであるかが、かなりの影響を与えているのではないかということです。人間の心理として調査元に対してよい印象を持っていない場合に回答に協力する人の割合は減るのではないかと思います。上のグラフを見て、平均支持率、不支持率の数値がなんとなく、各社の日ごろの報道姿勢通じるものがあるのではないかという気がします。とすれば、調査元の報道姿勢に共感する人が多く回答を寄せがちになり、調査結果にもその傾向が反映されるということではないでしょうか?

もう一つの可能性は、質問や設問の仕方にも多少影響されるのではないかということです。FNN/産経では支持率と不支持率を足すと95%を超えます。それに対し報道ステーションでは支持率と不支持率を足しても76%に過ぎません。もし、仮に報道ステーションの態度不鮮明の24%弱の人がもっと態度を鮮明にしていれば結果が違ってくるかもしれません。ここまで差がでるということは、やはり質問の仕方などに違いがあるように思います。

私は統計の専門家ではありませんが、ずっと以前からこの問題は気になっていました。報道機関各社は、概して自社の結果を重用します。(当たり前ではありますが)ただ両方が拮抗しているようなときは調査結果が調査元によって異なることも多々あります。そうは言っても調査元を明らかにせずに調査することは、それはそれで問題でしょうし、結局は受け取る側として、そうしたことも理解した上で結果を受け止めるしかないのではないと思われます。