前年同月比は大幅プラスでも、前々年同月比は?が続く・・業況観測アンケート

昨日日塗工から業況観測アンケートの結果が届きました。内容的にはタイトルに書いた通りで、前年同月比は先月をさらに上回りましたが、前々年同月比は100を超えるかどうかといったところで微妙な状況でした。今日の要旨は先月とほぼ同じになりますが、業況観測アンケートの結果をご紹介します。

この業況観測アンケートの結果は、経産省の統計数値よりも早く発表され、しかも需要分野別の数値が得られるため貴重な情報です。ただし、発表されるのは前年同月比で表されたアンケートの集計結果で、具体的な数量までは発表されません。平常時では、前年同月比が判ればおおよその動向は判断できるのですが、今回のコロナ禍のような非常事態では、前年同月比という数字では動向の正しい把握が困難になってきます。具体的には、タイトルに書いた通り、前年度月比%は100を大幅に超えているのに、前々年同月比は100近辺にとどまっているという現象です。3月以来この傾向が顕著になってきました。

まずは、6月の需要分野別の前年同月比(金額)の一覧表からです。一番下の黄色で色付けした行だけ、前々年同月比です。

6月の前年同月比は、各分野とも船舶・構造物を除き100を大きく上回っていますが、前々年同月比はいずれも100近辺に留まっています。この理由は言うまでもなく、前年同月である2020年6月が、コロナ禍により大きく需要が落ち込んだ時期であったからです。したがって今年の6月の需要は、昨年と比べれば大幅増ですが、一昨年と比べればわずかに足りない程度ということになります。

この状況は、コロナ禍が本格化し需要が大きく落ちこみ始めた昨年の3月以降を前年同月とするここしばらくの期間継続すると思われます。上の表を細かく見ていただければわかりますが、2020年ではまずまずの需要に回復するには約半年を要していますので、早くて10月にならないと前年同月比と前々年同月比の乖離は解消しないと思われます。

下の図は、昨年4月以降について需要分野別の前年比と前々年比について示したものです。

各グラフとも、左端から中央までは前年同月比も前々年同月比も比較的よく一致しています。一方、右端の赤枠で囲ったのが今年の3月以降で、前年比と前々年比の乖離が激しくなっていることがわかります。特にこの乖離は、昨年の4-6月で需要が最も大きく落ち込んだ自動車塗料分野で顕著になっています。具体的には、自動車塗料の前年同月比は147.5%ですが、前々年同月比は88.9%にすぎません。少なくとも5月までは、こうした前年同月比と前々年同月比の乖離は、自動車メーカー各社が発表している国内生産台数の傾向と一致しており、自動車の生産台数も前年同月比では大きく100を上回りながら、前々年同月比ではほとんどが100を下回っています。(下図 左:自動車生産台数前年同月比、右:自動車生産台数前々年同月比)

それでは、こうした状況はどの程度続くのかと言えば、冒頭書いたように前年同月比が、95を超えるまでに快復した10月までは待つ必要があるものと思います

最後に、これまで続けてきたリーマンショック時とコロナ禍における需要動向(前年同月比)の推移のグラフをご覧ください。

上のグラフを見ていただくと、リーマン時とコロナ禍の前年同月比の推移は類似していると言って良いと思います。リーマンショック時には、基点から12カ月目までの推移の様子をちょうど100の線を軸にして線対称にしたような形で13カ月目~24か月目が推移しています。コロナ禍でも同じように推移するとすれば、この先しばらくの需要動向としては、前年同月比の100越え数値は続くものの、それは見かけの数値であり、実態としてはせいぜい良くて平年比並みに過ぎないということになるのではないかと思われます。