ワクチン接種が増えても感染者が減らない理由

昨日東京都の新規感染者がとうとう1000人を超えてしまいました。先週から十中八九はそうなるだろうと予測していましたが予想通り1000人超えとなりました。ワクチン接種が進んでおり、感染者増加に歯止めがかかるのではと期待されていた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、そうはなりませんでした。今日は、ワクチン接種が新規感染者数、入院者数、重症者数、死亡者数に及ぼしている影響について調べたことをご紹介します。

新規感染者とワクチン接種については、首相官邸ホームページにデータがありました。

https://www.kantei.go.jp/jp/content/210708shiryo.pdf

高齢者向けワクチン接種の進展に伴い、見事に東京都の新規感染者の中の65歳以上の割合が減少し、ひと月ほどの間に半減しました。ただし、気を付けなければならないのは、この間新規感染者の数も増減しており、65歳以上の割合が半減したこと=感染者が半減した とは限らないということです。そこで感染者数の推移を調べてみました。

同じ期間の東京都の新規感染者数は下図のようになっており、65歳以上の割合が減り始めた5月27日頃からは、新規感染者数も減少傾向にありましたので、現時点でもワクチン接種が広がる前と比べれば、高齢者の新規感染者数は絶対数としても減っているものと思われます。

東京都のCOVID-19特設サイトのデータをグラフ化

それではなぜ、高齢者の感染者割合が減っているのに全体が減らないのかと言えば、それはもともと65歳以上の感染者の割合が10%ほどしかなかったからです。10%が5%になったとしても、他の世代が変わらなければ、全体としては100が95になるだけだからです。この程度の減少は、大きな感染のうねりの中では埋没してしまうからです。やがて全世代にワクチン接種が広まれば、新規感染者も減少していくであろうと推定できます。

東京都だけに限らず全国規模で見てもワクチン接種の効果が明らかに現れている数値があります。ここからは全国の感染者数、入信者数、重症者数、死亡者数の推移について見ていきましょう。

左の図は、首相官邸のホームページの医療従事者を除く累計ワクチン接種者数で、赤線、紫線は、1回目接種の国民の10%終了、20%終了した時期を表しています。

右の図には、新規感染者数と入院者数を示しています。新規感染者数については、これだけではワクチンの効果があったのかどうかまだ検証できませんが、新規感染者数の推移と比較することで、他の数値はワクチンの効果を推定できます。赤丸で囲った部分に注目してください。新規感染者が再び(正確には五たび?)増加に転じていても入院者数の増加は少なめです。つまり新規感染者数に比べて入院者数は抑制されていることがわかりません。因みに新規感染者数と入院者数の推移はほとんどタイムラグがありませんので、この評価にタイムラグを考慮する必要がありません。

この傾向は、重症者数、死亡者数ではより明らかです。新規感染者数と重症者数、死亡者数の推移はタイムラグがあり、約10日ほど重症者数、死亡者数が遅れて推移していました。しかし、それを考慮に入れても、重症者数、死亡者数は、新規感染者数の動向とは別の動きとなっており、抑制されていることがわかります。新規感染者中の高齢者割合の減少によって、明らかに重症者数と死亡者数にはワクチンの効果がみられています。

このことは重症者や死亡者の中の高齢者割合を考えれば十分に合理性のあることだと理解できます。

この表は厚労省が出している資料の中にありますが、ここから重症者、死亡者における高齢者割合を推測するとおおよそ重症者、死亡者とも50%以上は65歳以上の高齢者だと推定できますので、ワクチン接種の進展によって重症者と死亡者が顕著に減少することは、ワクチンの効果が現れていると考えることができます。

コロナ対応において最も重要なポイントである医療の逼迫に対してすでに明らかな効果が見られている事実こそ、政府はワクチンによる目覚ましい効果として国民にアピールすべきはないかと思います。高齢者に優先して接種することを決めた原点に立ち返れば、目論見通り効果がでているということであり、このことが、政府への信頼を少しでも取り戻すきっかけになればよいと思います。