塗料製造業は意外に健闘しているその2・・製造業全体における立ち位置(前半)

先日、塗料製造業は意外に健闘しているというタイトルで、化学工業の中における塗料製造業の位置づけについて書きました。それを要約すれば

①塗料製造業の出荷金額は、最終製品としては医薬品、化粧品に次ぐ第3位である。

②この4年間(2014-2018年度)の成長率でみると、従業員数、製品出荷額、付加価値金額の成長率では化学工業の平均を上回っている

ということです。それでは、もう少し視野を広げて製造業全体の中ではどのような立ち位置にあるのでしょうか?今日と明日の二日間、年末特集として製造業全体における塗料製造業の立ち位置について書いてみたいと思います。

データの出典は、前回と同じく経済産業省の

2019年工業統計表 産業別統計表、令和2年(2020年) 8月7日公表 経済産業省大臣官房調査統計グループ構造統計室のデータです。データそのものは2014-2018年の分になります。

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/result-2/r01/kakuho/sangyo/index.html

まず最初に全製造業というのはどのような業種があり、どのような統計数値が提示されているかをご覧ください。この表は掲載データから2018年の大分類毎のデータを抜き出したものです。

23の大分類があり、製造業と呼ばれるすべての業種がカバーされています。塗料製造業は言うまでもなく、化学工業に分類されています。これらのデータから、それぞれの業種の立ち位置を俯瞰してみたいと考えました。立ち位置を示す指標として選択したのは、以下の7項目です。

①出荷金額②付加価値額③出荷金額成長率④付加価値金額成長率⑤一人あたり出荷金額⑥一人あたり付加価値金額⑦平均給与の7つです。①と②はその業種が産み出す価値と付加価値の大きさです。この付加価値金額は概ね出荷金額から原料費を引いたものと考えてよいようです。③と④はそうした価値/付加価値の成長性、⑤と⑥は従業者一人当たりの価値/付加価値の値、⑦はその対価として従業者に支払われている給与額です。私は経済の専門家ではありませんので、これらの項目が適切かどうかを論じる資格がありませんが、立ち位置を示す指標としては、その産業の規模、生産性、成長性を示す指標が必要と思い、これらの指標を選択しました。

今日明日の2日間で、それぞれの業種の立ち位置を明らかにし、最後に塗料製造業の全産業種における立ち位置を考えてみたいと思います。

最初に①と②をご紹介します。

大分類毎の①出荷金額、および②付加価値金額は基本的には相関しています。また大分類毎のバラツキをが大きいため、両者をあらわすグラフの縦軸は対数軸はせざるを得ませんでした。出荷金額上位には、輸送用機械(主に自動車です)、化学、食料品、生産用機械、電気機械器具、鉄鋼業、電子部品、デバイスとならびますが、まず予想の範囲内と感じる方も多いと思います。

付加価値金額はほぼ出荷金額に連動していますが、例外もいくつかあります。たとえば石油・石炭製品です。これは主には石油精製なのですが、大変特異な業種なためにこのような結果になっています。本項の後半の部分でその特異性は明らかになります。

続いて③と④です。

今回のデータの掲載範囲は2014-2018年でした。上のグラフでご紹介する成長率はこの範囲でのCAGR(年平均成長率)を計算したのものです。上位に並ぶのは生産用機械、はん用機械、電子部品デバイス、輸送用機械、食料品、などです。なんとなく、電子機器の進化というような言葉が思い浮かぶ顔ぶれです。化学工業はと言えば、付加価値金額成長率は全産業種平均を上回りましたが、出荷金額は平均を下回っています。

ここで特異的な業種はまたもや石油・石炭製品と情報通信機器です。石油・石炭製品は主に石油精製業であることは上で述べましたが、出荷金額の成長率は低いのに付加価値金額成長率は極めて高いのです。推測ですがこの理由は原油価格の変動であると思われます。事実原料費はこの4年間で大きく変動しています。すなわち「2014年と2018年を比べると出荷金額は減少したが、原料費が大きく減少したのでその差分である付加価値金額は大きく増加した」ということだと思います。一方で情報通信機器の動向には携帯電話の使用形態、市場状況が大きく関わっているのではないかと推測しています。

ここまでそれぞれの業種の規模と成長性を見てきました。明日は生産性を見た上で、最後に塗料製造増業の立ち位置を明らかにしたいと思います。