7-9月のGDPは80年以降最大の成長率でしたが・・

昨日、7-9月のGDPの速報が発表されました。物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で5.0%、年率換算の21.4%であり、80年以降では最大の成長率と報道されました。今日はこのGDPについて書きます。

この発表に関して見出しのつけ方は、報道によって大きく違っていました。日経の見出しは「GDP7~9月年率21.4%増、4期ぶりプラスでも回復途上」と慎重な姿勢でしたが、ブルームバーグは「日本の経済成長率52年ぶり高水準、消費や外需持ち直すー7-9月」と一見すでに回復したかのような見出しをつけました。どちらも、事実を曲げているわけではありませんが、受け取る側にGDPに関する基礎知識がないと誤解のもとになりかねません。

そもそも内閣府が発表しているGDPの成長率は、国内総生産の前期比です。前年同期比ではありません。前期比とは、例えば今回であれば7-9月が当期ですので、その前の4-6月が前期となり、この4-6月に比べてどれだけ成長したかという数値が前期比です。この成長率はもちろんこの当期の3か月間の数値ですから、通常は小さな数字になりますので、年率換算されることも多く、今回の場合実質で5.0%、年率換算で21.4%という数字でした。年率換算は、この成長が1年間続いたという仮定の計算ですので、(1+四半期成長率%/100)^4という式で計算されます。

前期である4-6月は、実質で-8.2%、年率換算で-29.0%という大きな落ち込みを記録していますので、今回の記録的な成長も、回復半ばということがよくわかると思います。単純に計算しますと4月1日時点からみれば、9月30日時点では、(1-29.0/100)*(1+21.4/100)=0.862となり、まだ13.8%も落ち込んだまま、つまりやっと半分ほど回復した段階という計算になります。このように丁寧に解説しているニュースもありましたが、そうでなく表面上の数値の紹介に留まっている報道もありますので、注意して聴いていただきたいと思います。

随分前置きが長くなってしまいましたが、内閣府の報告書からグラフをいくつかご紹介しますが、その前にそもそもGDPの内訳はどのようになっているかを説明します。

この図はネットの画像検索で探したものですが、すでに元のサイトとのリンクが切れていて大元が不明です。画像の隅にお名前がりましたのでそれをたよりに検索すると三宅隆介さんという日本維新の会の川崎市市会議員の方のサイトに掲載されたいた画像のようです。

GDPの切り分け方にはいくつかあるようですが、これが一番基本的なものです。最も多いのが民間最終消費支出で半分以上がこれです。よく民間の消費が大事といわれる所以です。ついで政府最終支出、民間企業設備と続きます。そのほか民間住宅、公的資本形成、輸出入とありますが、内閣府のGDPレポートはこのこうした項目に従ってグラフが作成されています。

上段がトータルのGDP成長率の推移で、下段は民間最終消費支出の推移です。どちらも左が実質、右が名目です。上下見比べてよく似ていることに気づかれると思います。先ほど説明したように、トータルGDPの半分以上が民間最終消費支出だからです。

次は上段が民間住宅下段が民間企業設備です。両方とも、当期がさらに前期を下回っています。特に住宅の落ち込みは年率換算で30%近い減少になります。またGDPの中でかなりの割合を占める民間企業設備が落ち込んだままであるというのは気になります。

次に上段が政府最終消費支出、下段が公的固定資本形成です。政府支出、公的固定資本形成とも増加しています。

最後は輸出入です。輸出は増加していますが、これも前期の落ち込みを埋めるだけの大きさはありません。輸入は前期を大きく下回っています。

こうした個々の数字に様々な調整がはいり最終的にGDP成長率が計算されるのですが、GDPの内訳で比較的大きな部分をしめる民間最終消費支出、民間企業設備、政府最終消費支出の3項目についてみると、民間最終消費、政府最終消費支出は前期からプラスに転じていますが、民間企業設備は前期をさらに下回っていました。さらに次期(10-12月)の成長率に関して民間の予測は2.7%という数字がでており、当期にくらべ回復が減速すると予想されており回復への道はまだ遠いようです。