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かんとこうブログ

2020.10.13

日本人にとって特別な色・・・赤の物語  その1

 

このブログで色を取り上げたのは、白が一番最初でした。ついで青、黒と続きましたが、今回は赤を取り上げます。赤は言うまでもなく日本人にとって特別な色です。日本の国旗である日の丸も白地に赤丸が染め抜かれており、慶事には紅白の垂れ幕が飾られや食紅で着色された食べ物がふるまわれます。こうしたことは日本特有なことのように思われますが、外国ではどうなのでしょうか?赤の物語、それでは世界の国旗から話を始めることにしましょう。言い忘れましたが、この赤の物語は4日ほど続く予定です。

日本と同じように、赤と白の二色だけで構成されている国旗は世界にどのくらいあるのでしょうか?ざっと調べてみたところ、14か国ありました。


意外に多いと思いましたが、使われている赤はかなり差があるようです。それぞれの国旗にはいわれがありますが、いくつかご紹介しましょう。

 インドネシアの国旗は、赤は勇気と情熱を、白は真実と聖なる心を表し、起源は13世紀にまでさかのぼると言われています。オーストリアの国旗も起源は13世紀にさかのぼりますが、上下の赤に挟まれた白の部分については、第3回十字軍に参加したオーストリア公レオポルト5世が敵の返り血を浴びて全身赤く染まったが、ベルトのため腰の部分だけ白く残ったという故事によるとされています。

 カナダの国旗は、カエデの葉を表していることは周知となっていますが、デザイン全体の意味はが、左の赤色が示す太平洋と右の赤色が示す大西洋に挟まれた国土において、カエデの葉が表す厳しい自然の中での暮らしを象徴しているというのはあまり知られていません。スイスの国旗は、もともと神聖ローマ帝国の軍旗がもとになっており、赤十字の旗は、このスイスの国旗を反転させたとされています。

チュニジアとトルコには、月と星が描かれており、これは言うまでもなくイスラムのシンボルなのですが、もともとはオスマン時代のトルコの国旗が始まりだそうです。そして日本。赤い丸は太陽を表し、白は神聖と純潔、赤は博愛と活力を表すというのは定説となっていますが、その起源は諸説あり定かではないとしておきます。国旗として使用されだしたのは、江戸末期に船舶の国籍標識旗として使用されたことからのようです。

同じ様に赤い色を国旗に使っていても、その起源やいわれは様々ですが、赤色を少しでも国旗に使用している国は、208国・地域のうち154か国に上りいかに人気のある色かということがわかります。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%97%97%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

さてそのように人気のある赤色ですが、一口に赤と言っても様々な色があり様々な名前がついています。中でも国の名前についた赤は大変数が多く、なんと28種類もの国や地域の名前のついた赤がありますので、それをご紹介します。この出典は「色の知識」城一夫、株式会社青幻社 発行 という書籍です。

この本の記述内容に沿って、赤の名前の由来と色(マンセル値)で整理してみました。マンセル値というのは、色の番地のようなものですべての色を色相、明度、彩度の3つの要素に分解して整理することができます。まずは名前の由来からです。

予想通りというか、血に由来するものが最も多いという結果でした。その血の由来も独立戦争と十字軍などの宗教に関係する戦争が多いようです。次いで神・宗教、民族・統治・政治に由来するものが続き、文化・歴史に由来するものもありました。それにしてもどんな色かわからないことには想像もできないと思いますので、色について整理した結果を紹介します。

残念ながら、マンセル値に従って正確な色を表示することは、今使っているパソコンのソフトでは無理なので、一覧表でお見せするにとどめます。感じだけつかんでいただければと思います。


ここで最も重要な情報は、これら28色はかなり似ており、非常に狭い範囲のマンセル値に納まっているということです。色相で言えば5.0R+/-2.5R、明度で言えば4.75+/-0.75で彩度はすべて14.0でした。標準的な赤の色相は5.0Rですので、当たり前ですが、すべて標準的な赤の周辺の色相であり、明度(明るさ)は中間程度の明るさで、彩度の14は極めて鮮やかであることを表しています。この中で2色だけ日本塗料工業会の色見本帳(2019年K版)に収録されている色があります。ブラジルとフランスの名前のついた色ですが、この2色とももちろん彩度は14です。この彩度14とは塗料で再現性良くつくることのできる最高の彩度であり、日塗工の色見本帳に収録されている色の中で最高の彩度となっています。つまり国名のついた赤というのは、すべてがとびきり鮮やかな赤であるということなのです。

少し話はそれますが、(一社)日本塗料工業会の色見本帳は、実は世界で最も発行部数の多い見本帳です。日本塗料工業会のホームページの色見本帳のコーナーには、マンセル値で検索できる「ペイントカラー検索システム」があり、近似色表示機能により、その画像も表示されます。あくまで近似色ではあるのですが、およその色イメージを掴むことができます。便利な機能ですのでみていただくようお勧めします。

ブラジルレッドとフレンチバーミリオンのマンセル値を「ペイントカラー検索システム」で検索し、近似色表示させた結果を示します。

https://www.toryo.or.jp/jp/color/index.html

さて、ここまで世界で使われている赤について見てきました。明日は赤の歴史について見ていくことにします。

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