Coatings World Top Companies Report 2020 詳報4

3回続けてきた詳報も今日で最後とします。今日は世界各地域で注目される塗料メーカーを書きます。とはいえ、現地調査などしておりませんので、あくまでCoatings World 紙の情報の範囲内ということになりますが・・

アジア・パシフィックです。今や地域的には塗料の消費量が世界1の地域となりましたが、その理由はもちろん人口です。世界で消費される塗料の半分は建築塗料であり、その消費量は、人口と一人あたりGDPからおおよそ推定できます。そして今や世界の大消費国と言えば中国とインドになりつつあります。

この両国は抜きんでて人口の多い国ですが、塗料会社のランキングとなると事情はかなり違います。インドはAsian Paint とBerger Paintという2つの大きな地場の会社が売上げを急激に伸ばしているのに対し、中国では、有力な地場の塗料会社がこれまで見当たりませんでした。今や世界一の塗料消費国となった中国ですが、これまで安定して20位以内に入ってくる会社がありませんでした。ところが今年は、20位以内にランク入りした会社が現れました。SK SHUという会社です。3年ほど前からランク入りしていたのですが、2019年度はいきなり10億5000万ドルを売上げ15位に入ってきました。上のグラフにインドの2社、下のグラフに中国の有力企業の売上推移をグラフで示します。

このSK SHUという会社のホームページで売上推移を調べると、2018年度が36億元、2019年度が60億元と大幅に売り上げを伸ばしているようです。主な製品は天然材料を使用した建築用塗料で、リフォームに関する安全衛生上の法改正により売り上げを伸ばしたというようなことが書かれていました。このランキングでは2019年度の売上である10億ドルを倍増できれば、中国地場会社初のトップ10に手が届きます。

次にアメリカを見ます。かつては世界最大の単一マーケットであったアメリカは、建築塗料の一人当たり消費量が年間8Lを越える一大消費国であり、世界の1,2,5,6位の企業が存在しています。が一方で、こうした大企業を除くと意外にランク入りしている企業は少ない気がします。 そんな中でのトピックス2つ。

①Benjamin Mooreはまずまずの成長をとげている。内装における独自の領域に特化している。

② Ace Paint とKelly Mooreの2社が2018年に不連続的急成長し一挙に順位を上げた。

Benjamin Mooreは日本でもおなじみですが、順調に売上げを伸ばしているようです。一方、Ace PaintとKelly Mooreは時を同じくして売上げがジャンプしました。Coatings Worldの記事を見ても理由がわかりません。ともにもう少しで10億ドルの手が届きそうなところに来ていますので、来年以降も注目したいと思っています。

最後にヨーロッパです。AKZO Nobel, BASFをはじめ錚々たるメーカーがランク入りをしており、全部で30社(下表は60位以内の19社)と世界の地域別では最多のランクイン数です。ドイツの会社が約半数を占めるとともに、存在感のある個性豊かな塗料製造会社が存続しており、歴史と文化を感じさせます。2020年発表のランキングでは、急成長を遂げている会社はなく、かつトルコのBetek Boya以外消えた会社もありません。昨年の欧州は比較的静かな1年だったようです。

このシリーズ最終回の今日は日本以外の世界の各地位毎に話題を拾ってみました。日常の仕事とはずいぶんと遠い世界の話と思われているかもしれませんが、世界の塗料業界では、まだまだM&Aが頻繁に行われていますし、これからも行われていくものと思います。日本はこれまで、旧日本油脂の塗料部門がBASFとなった以外に外資による大きなM&Aはありませんでしたが、今後ないという保証はありません。今世界で起きていることを注視しておくことはそれなりに必要なことではないかと思っています。これでこのシリーズは終わります。