Coatings World Top Companies Report 2020 詳報3

今日は、このランキングにアップされた日本の塗料メーカーについて書きます。ご紹介するデータはあくまで過去のCoatings World 社のデータですので、実際には公表されている決算データと異なる場合もあろうかと思いますが、そうした齟齬は、ご容赦ください。Coatings World の発表したデータからこんな風に見えますという内容をご紹介します。

前報でも少し書きましたが、このランキングに最も多くの名前のあがった国は日本です。全82社中15社が日本の塗料メーカーでした。この15社という数は世界一であり、2017年以降首位の座を維持しています(下左の図)。しかもほぼ全部が、2010年以降毎年ランクインをしています。このことは世界に誇っても良いのではないかと個人的には思っています。

それでは、ランクインした日本の塗料メーカーの9年間の売上高推移を見ていくことにします。ただし、最初にお断りしたように単位はUSドルですので、為替の影響が含まれていることにご注意ください。最初は、2大メーカーと言われる日本ペイントと関西ペイントの売上高の推移を1997年から2019年までの22年間についてグラフ化しました。下の右の図です。

この両社2009年くらいまでは、ぴったりとならんで並走していました。グラフの線が重なるくらいの僅差の争いが続いていたのです。その後関西ペイントが少しリードしますが、日本ペイントにウッドラムグループが本格的資本参加したことにより、それまで連結対象でなかった中国他海外の売り上げが連結対象となり、一挙に日本ペイントがリードする状況になりました。現時点での両社の海外ビジネスに対する姿勢からみてもこの差はまだ開くと思われます。図には2010-2019年度の9年間のCAGRを書いていますが、それとは別に22年間のCAGRを計算すると日本ペイントが6.41%、関西ペイントが4.83%と両者とも大きく成長を続けてきたことを示しています。

次に、この2社に続く第2集団と第3集団について見ていこうと思います。

左が第2集団で、エスケー化研、中国塗料、大日本塗料、右が第3集団で藤倉化成、日本特殊塗料、武蔵塗料、オリジンです。この分け方は、2010年の売上金額で分けたのですが、グラフを書いてみると意外にも結構両グループが対照的であることがわかりました。2010-2019年度の9年間のCAGRが、左の図ではすべてマイナス右の図ではすべてプラスでした。書き忘れましたが、CAGRの数値の表記がどの会社を表わすかは、表記の縁取りとグラフの線の色とを合わせていますのでご参照ください。このCAGRは最初と最後の年度の数値から計算しますので、年度の取り方によっては数値は随分と変動するので断定的なことは言えないものの、今説明した傾向は目で見た感覚とも一致するように思います。

注)中国塗料については1997年度以降ランク入りしており、その時から22年間のCAGRを計算すると6.93%と大変高い成長率となります。つまり長いスパンでみれば大きく成長した会社であるということです。

この中でオリジン(旧オリジン電気)の2019年度の数字については、以前に説明したように、同社の決算書を見てもこのような大きな数字は見つかりませんが、そのまま使用しました。この数字のかわりに2018年と同額の数値を使って計算しても9年間のCAGRは12.31%となり、急成長している会社であることには違いありません。

次はこのランキングの常連としてランクインしている会社6社です。

この分け方も2010年度の売上金額によって二つに分けただけです。右が神東塗料、ロックペイント、菊水化学工業で、左がナトコ、アサヒペン、トーペです。この6社もこの10年連続してランクインしています。ただ、この9年間のCAGRを計算するとナトコと菊水と除きマイナスになりますし、目視でも全体に右下がり気味に見えます。

ところで今見てきた2010年度から2019年度までの9年間は、日本の市場全体はどうだったのでしょうか?

2010年度は、リーマンショックからようやく立ち直り、久しぶりに塗料の売り上げが前年を大きく上回った年でした。上の日本塗料工業会の年間出荷金額の図をみてもほぼ6000億円に達していたのがわかると思います。その後国内需要は停滞し、CAGRを計算すると-0.52%となりました。ランクインした会社についてこの9年間のCAGRを計算すると、マイナスの場合が多かったのは、やはりこうした国内市場の停滞が背景にあると思われます。

Coatings world の世界の塗料会社のランキングにおいて、日本は3年連続の最多ランクインを維持しました。しかもランクインした会社がすべて2011年(2010年度のランキング)から連続してランクインしています。このことは堅実な経営がなされていることの証ともいえるのではないかと思います。まず間違いなくこうした国はほかに存在しません。海外ではM&Aが頻繁に行われ、どんどん昔からの名門企業が消えているのですが、日本はある意味そうした喧騒の外にいるかのように感じます。

ただ、個々の会社を見ると必ずしもすべてが順調に成長できているわけではないこともわかります。この背景には国内市場全体の需要が低迷していることがあるわけですが、その裏返しとして業績を伸ばしきた会社は事業の海外展開を積極的に行ってきた会社であるともいえるようです。

このシリーズまだ続きます。