Coatings World Top Companies Report 2020 詳報2

今日は詳報の2回目です。トップ10会社(正確には11社ですが)の動向を、このCoatings World 社がランキングを始めた1998年版(1997年度)以降の記録をすべて辿ってみることにします。

最初は、ランキング入りした会社数です。前回、ランキング入りした会社数が増えていないのは、M&Aの影響が大きいのではないかと書きました。ではそれ以前は増えていたのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。答えは下の図をご覧ください。

ランキングが開始された1997年には売上1億ドル以上の会社は50社でした。その後増加していき、リーマンショック前には67社まで行きました。リーマンを経て2009年から2010年にかけて一挙に増加した後、横ばいかむしろ減少傾向にあります。こうした不自然な動きをみるとやはりM&Aの影響ではないかという思いを強くします。

さて話を戻してトップ3です。1997年時点でのトップ3は基本的には今と同じSherwin, PPG, Akzo-Nobelでした。ただし当時の規模は売上は現在の半分ほどしかありませんでした。この3社は現在売上が100億ドルを超えていますが、その経過は様々で、いずれも大型のM&Aを経て現在に至っています。

主要なM&Aをグラフに記入しましたが、紺色の線のPPGは1997年にTotal、2006年にSigmakalonを傘下に収め、その後もM&Aを積極的に行い今に至っています。赤色の線のSherwin Williamsは何といっても2016年のValsperの買収が光ります。当時世界4位とも言われたValsperとの合併により、売上金額実質世界一の座を堅持しています。このランキングでは、PPGの後塵を拝していますが、会社全体の売上はPPGを上回ります。

世界で一番最初に100億ドル企業となったのはAkzo-Nobelでした。この会社自身はAkzoとCasco Nobelが合併したものですが、そのCasco NobelもM&Aを繰り返して大きくなった会社です。それがCoutarulds (International)とかつて世界一だったICIを吸収し世界初の100億ドル企業となったのでした。Akzo Nobelはこの10年ほど、目立ったM&Aを行わず、売り上げも伸ばせていませんが、資金的には最も余裕があり、次に大きなM&Aをしかけるのではと言われて久しくなります。

次の第2集団を見てみましょう。第2集団もこの顔ぶれでずっと競争を続けてきました。

一つの図に5社の線があるのでわかりにくいかもしれませんが、現時点では、日本ペイントが頭一つ抜け出し、単独4位でTOP3を追いかける体制を構築したと思っています。ここまでこれた理由はもちろん、2014年のウットラムの資本参加です。経営が実質的に統合され、グループ全体として世界市場への展開を行う体制が整ったからです。RPMも順調に売り上げを伸ばしていることがわかります。BASFとAXALTAも独自路線で歩みを進めており、この第2集団は前回みたように平均値でみるとトップ3の平均値を上回るCAGRを記録しています。次にトップ10の最後を飾る第3集団を見てみましょう。

ひときわ目を引くのがAsian Paintです。この21年で売り上げが10倍になっています。1999年からの20年間のCAGRは唯一の二桁企業であり、トップ10の一角を確保したものと思われます。一方Jotunはこの10年間はそれ以前の勢いがありません。

次にこれら11社について、この20年間、10年間、5年間についてCAGRを計算してみました。グラフから読み取れることをもう少し定量的に見れるメリットがあります。

さすがに世界のトップ企業。この20年間でのCAGRは全てプラス、平均すると数%はありそうです。中でもアジアンペイントが目を引きます。ところがこの10年、5年のCAGRに目を転じると、成長できていない会社があります。Akzo-NobelとJotunです。その一方で大きく伸ばしている会社もあり、Sherwein と日本ペイントです。この両社は上で説明した通り2010年代に大きなM&A、経営統合を行いました。

ただ少し気になるのは、M&Aを除くと最近5年間のCAGRにかつての勢いがありません。新興国の需要に引っ張られて世界的には需要は拡大傾向にあるものと思いますが、これらトップ企業は、主として先進国が本拠地の企業であり、新興国の旺盛な需要を十分に取り込めていないのかもしれません。

このシリーズまだ続きます。