法人企業景気予測調査(令和2年4~6月期調査)について

先週の木曜日、6月11日に財務省と内閣府から、掲題の調査結果が発表されました。新聞等で報道されましたので、ご覧になった方も多かったと思われますが、この調査は、四半期毎に全国の14000社ほどの会社に調査票を送り、10000社を超える会社から得た回答を集計しているもので、経営者が自社および国内の景況をどのように見ているかを示す指標として有用なものと考えられます。今回調査は、5月15日を調査時点として、4-6月(当期)および7-9月(次期)、10-12月(次次期)の景況を「上昇」、「不変」、「下降」、「不明」の四択で回答したものを集計しています。

報道された主な内容は、企業規模を問わず、最大級の「下降超」の状態となり、令和2年度の売上高は前年比でマイナス5.2%と予測されるというような内容だったかと思います。しかし、この調査結果には業種別の景況判断が掲載されていましたので、時系列データとともにご紹介したいと思います。データはすべて内閣府ホームページからの引用です。

まず、前回1月15日の調査結果と今回の4月15日の調査結果を対比してご覧ください。

前回調査では、当期(1-3月)をはじめとして「不変」の回答が最も多かったのですが、今回調査では、「不変」は全回答の1/4程度にすぎず、「下降」や「不明」の回答が「不変」を上回る結果になっています。この3か月で、コロナショックの暗い影が景況判断に色濃く反映されてきていることが理解されると思います。

この調査で発表される指数(ポイント)とは、「上昇」の回答%から「下降」の回答%を引いたものです。上の図を例にとれば、今回結果で当期(4-6月)の指数は、「上昇」の4.7から「下降」の65.3を引いた▲60.6が、中小企業製造業の経営者が判断した自社の景況指数となります。

この調査結果には、2004年以降の指数データが添付されています。ちょうどリーマンショックの時期をカバーしていますので、当期の景況指数について時系列の推移を調べてみました。驚くことに、大企業と中小企業では、あまりに景況指数が違っていましたので、両者を比較し、さらに「自社に対する景況判断」と「国内に対する景況判断」についても比較してみました。

まず左右を比較してもらうと、大企業と中小企業の景況判断の差がわかります。「自社」「国内」いずれの場合もかなりの差があります。中小企業の場合景況判断が水面上にでることはほとんどありませんでした。しかし、それにも拘らず、今回のコロナショックが、各図の左部分にある深い谷が表すリーマンショックと少なくとも同等程度のインパクトを企業規模を問わずに及ぼしつつあることが理解されると思います。

また上下の比較により、「自社の景況判断」と「国内景況判断」の差が確認できますが、両者の回答に大きな差は認められなかったので、以降はどちらかを用いて説明することにします。次に業種別の指数をみます。紙面の都合上、塗料と関係が深そうな業種に限定してグラフ化してみました。

この業種別指数は全企業規模を含んでおり、業界全体の指数となっています。上段が製造業、下段が非製造業です。平均的な指数は▲60程度ですので、▲80程度以上の業種が、コロナショックにより大きな影響を受けていると考えられます。製造業で言えば、鉄鋼業、非鉄金属、金属製品、自動車・同付属品などが該当します。また非製造業では、小売業、宿泊・飲食、娯楽業などが該当します。農林水産や不動産は比較的影響が軽微なようです。

それでは最後に、リーマンショック時と時間的なタイミングをあわせてコロナショックの影響を比較してみます。この調査は3か月ごとですので、タイミングをぴったりとあわせることができません。起点をリーマンは2008年9月、コロナは2019年12月としました。大企業および中小企業の製造業の景況指数の推移を比較しました。

リーマンショックの時にはリーマンブラザースの破綻から一挙に悪化したような印象がありましたが、これをみるとリーマンショック以前から、大企業、中小企業とも景況感は悪化していたことがわかります。現時点ではまだ起点からの時間が短く、今後の動向をみないと軽々に判断できませんが、コロナの影響は、リーマンと同等かそれ以上のインパクトがあることは間違いなそうです。

今回の調査結果を詳しく調べてみて、やはりコロナショックの影響を強く受けている業種は、自動車はじめ金属関係が多いことが再確認できました。今後ともこうしたデータを解析し、塗料需要への影響を調査していきたいと考えています。