過去の不況期における塗料生産量の落ち込みは?

 新型コロナウイルス感染症による経済への影響が日増しに憂慮の度合いを深めています。今日はこの影響を考える上で参考になるであろう過去の不況期における塗料の生産量の変化について書きたいと思います。

下の図は日本の塗料生産量の前年比の変化を表したものです。前年比同量(+/-0)は赤い線でしめしてあります。

ここで青い矢印は不況の原因となる事象がおきた年、
緑の矢印は前年比が落ちこんだ年度を示しています。

 多くの時期は赤い線より上、すなわち前年比増ですが、中には前年比で減少している年があります。一番大きな落ち込みは、前年比33%減という第一次オイルショックのあとの1974年度でした。しかしこのときは1年後には増加に転じています。その後第2次オイルショック、バブル崩壊、消費増税と前年比減は認められますが、比率で10%以内に収まっています。ただしバブル崩壊は3年にわたって前年比減が続き3年間ではトータルで12%を超える減量となっています。

 2000年代以降での最大の落ち込みは何といってもリーマンショックによる世界的な信用経済不安の影響です。2008年度として14%強、歴年では2009年として23%もの前年比減を記録しました。このときも前年比割れは2年間続きました。このリーマンショックに比べると、1996年の阪神大震災、2011年の東日本大震災は、あれだけ被害の大きかった震災ですが、塗料生産数量にはさほど大きな影響を与えていません。

一方塗料の生産数量の推移をみると、二つの大きな変化点があります。それはバブル崩壊とリーマンショックです。これらの変化点以降は、いずれも元の水準に回復することができずに終わり、この不況が日本の産業構造に変化をもたらしたことを意味しています。

 今回の新型コロナウイルス感染症の影響はリーマンショック級と言われています。令和元年度は、下期の低迷により、通年での前年比減が確実視されており、来年度はさらに深刻な影響を及ぼす可能性も高いと言わざるを得ません。一方では、産業構造の変化という点でバブルやリーマンほどの変化は起きないのではとの見方もあります。いずれにしても、過去の例に見る限り、楽観的な見通しはできないことは確かです。今後の動向を注視せざるをえません。