再び”ナノ塗料”について

コロナウイルス感染症は、小康状態とは言え首都圏では感染経路不明の感染者が増加傾向にあり予断を許しません。とにかくできること(手洗い、うがい、咳エチケット、密閉・密集・密接を避けるetc)を励行したものです。ところで、今日は先日書いた”ハイブリッド塗料”に続き、”ナノ塗料”についてネットで見つけたことをご紹介します。

 最初は塗装業者の方のページにある「ナノ塗料」の紹介です。最初の下記出しはとても正しく書いているのですが、以下の件は首をかしげたくなります。「●●●●(商品名)の場合は塗膜がガラスや石のように無機質であるため、汚れの浸入をシャットアウトします。」 最初の方で自ら「 超微粒子の無機質成分が有機質成分と複合化する 」と書いているのに、いつのまにか「塗膜が無機質」になっています。塗膜の造膜成分は有機物質のはずですから、こうした説明は不適切と言わざるを得ません。 

 次の例も塗装業者さんのサイトです。「水性ナノシリコン塗料」について、いろいろと説明しているのですが、肝心のナノの部分の説明が全くありません。「 健康に優しく、火災の危険性が低い 」とか「 優れた耐久性で住宅を守る 」とかの説明が書かれているのですが、その中に一切「ナノ」に関する説明がないのです。「優れた耐久性」に「ナノ」は貢献しているとは思いますが、「ナノ」を名乗る以上きちんと説明してほしいものです。

 最後の例は塗料メーカーの例です。さすがに塗料メーカーらしく「ナノ」の説明をしてくれてはいるのですが、その中身に首を傾げてしまいました。一般のエマルションとナノ化されたエマルションの比較図がでており、一般のエマルションは粒子径が1μm(マイクロメートル、ミクロン)なのに対しナノ化されたエマルションは粒子径が一般の約1/10(0.1μm=100ナノメートル)であり、体積が1/100と書かれています。この図にはいろいろなところで首を傾げさせられました。

 まず一般のエマルションの粒子径は、通常1μmよりはずっと小さな大きさです。このように大きなエマルションは通常使用されていないと思います。次にもし粒子径が1/10であれば体積は1/00ではなく1/1000になります。1/100になるのは体積ではなく表面積です。さらに、このように粒子径の小さなエマルションを作るためには、通常界面活性剤の量を多く必要とし、そのために塗膜の耐水性が損なわれます。特殊な技術を使用しているのかもしれませんが、説明がありませんので、この図を見る限りこの塗料に対する信頼性を感じられません。

 以上ご紹介をしたのはほんの一例です。このような揚げ足取りをして怪しからんと思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、前にも書いたように、こうした不正確、不適切な説明をしていると最終的には塗料業界の信用を無くしかねないと心配をしております。一般消費者はもとより、建設業に携わる方の信頼を失うことは業界にとって大きな損失になるということを改めて訴えたいと思います。