トヨタの新しいエアレス塗装機

 先週トヨタ自動車は、世界最高水準の塗着効率を実現した新しい塗装機を開発したことを発表しました。今日はこの新しい塗装機について書きます。

 技術的な内容は、トヨタ自動車の発表資料(*)にわかりやすく書かれていますのでそれを読んでもらうのが最も正しく理解してもらえると思われますが、若干の解説を加えたいと思います。

(*)https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/31587406.html

 新しい塗装機の特長は、①霧化させるために空気を使用しない(エアレス塗装)②ガンと被塗物の距離が近い(近接距離塗装)③静電気を利用する(静電微粒化と静電塗装)であり、霧化のためにエアーを使用しないことが最大の特徴で、このため、エアーが跳ね返ることで生じる未塗着塗料の量を大幅に削減することができると説明されています。

 近接塗装により塗装のロスを削減するというアイデアは以前よりもありましたが、いろいろと問題があり実現が困難でした。今回の開発では次の二つの技術がこの高い塗着率を実現したとされています。一つ目は、微粒化と静電気付与を実現できる塗装機先端の円筒型回転ヘッドであり、二つ目は車体とガン先との距離の微妙な変動に対応できる高精度な電流制御です。この二つの技術により、これまで60-70%といわれる塗着効率を95%程度にまで高めることができました。

 この新しい塗装機による塗装には、塗料ロスの削減以外にも大きなメリットが期待されています。塗装する塗料の量が減少することによってスプレー作業に要する時間もエネルギーも削減することができます。また、スプレーロスが少なくなることで、ロス塗料の回収装置も小型化でき、さらに排水処理の負荷も大きく低減することができます。

 塗料の有用性は広く認められているところではありますが、一方で環境という観点からはマイナス面もないわけではありません。今回の塗装機のように技術の進歩によって環境のマイナス面を少しでも低減していくことは、塗装が将来的に使用され続けるためには必須であり、塗料業界としても、もっと積極的に取り組んでいく必要があると考えています。