アントシアニンはクロミック

昨日の続きです。紅梅の色素であるアントシアニンについて書きます。アントシアニンは天然界に広く存在する色素であることは昨日書きましたが、実はこのアントシアニン、環境により色が変化するクロミックという性質があるのです。

 物質の光特性(色や蛍光など)が外部からの刺激によって可逆的に変化する現象をクロミズム(chromism)と言い、そのような性質を持っていることを表す形容詞がクロミック(chromic)と言います。

アントシアニンの構造
この構造式はWikipediaより引用しました

 

 アントシアニンは上図のような構造をしており、R1~R7に何が結合しているかによって少しずつ色が異なり、中性条件では赤から紫の色を呈します。pHが変化するとそれぞれに色が変化し、酸性側では赤色方向へ、アルカリ性側では青色方向へ変化します。さらにアルミや鉄、マグネシウムなどの金属と錯体を形成することで色が変化することもあります。アントシアニンは「クロミック」なのです。

 この現象、皆さんはすでに実際に見たことがあるはずです。それは梅干しです。梅干しはなぜあんなに赤いのでしょうか?紫蘇の色だけではあのように赤くはなりません。紫蘇にもアントシアニンが含まれており、紫色を呈していますが、梅干しはもっと赤い色ですね。あれは梅に含まれるクエン酸によってアントシアニンが赤色方向へクロミズムを起こしているからなのです。このようにクロミズムは実は身近で起きている現象でもあるのです。

 さていよいよ本題です。このクロミズムを塗料に応用したらどんなことができるでしょうか?色が環境で変化する塗料ができるはずです。アントシアニンのようにpHを変化させるというのは、少し難しいかもしれませんが、温度変化で色が変化する塗料ができれば、夏は涼しげな色になり冬は暖かい色になる塗料ができるかもしれません。温度による色変化はサーモクロミズム(thermochromism)と言います。

 でも、このサームクロミズムにはもっともっと素晴らしい用途があります。それは高日射反射率塗料です。これについては、明日書くことにします。