アルコールの殺菌作用を化学的に考察すると・・

新型コロナウイルスによる呼吸器症感染症が”COVID-19″と命名されたことは昨日お伝えしました。今や感染防止のため、マスクとともに消毒用アルコールも店頭から姿を消しており、医療機関での在庫も底をつきかけていると報道がありました。今日はこのアルコールの殺菌作用を化学的に考えてみました。といってもこれはほとんど花王のサイトの引用です。詳しくは下記をご覧ください。https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf

 まず、アルコールの種類(炭素数)です。殺菌に使用されるアルコールは炭素数が2つのエタノールと3つのプロパノール(プロピルアルコール)が主ですが、殺菌作用について言えば、この炭素数が増加するほど強くなります。ただし炭素数が10を超えると、分子中の疎水部分が大きくなりすぎるために、水系での殺菌効果は減少します。

 次に、アルコールの濃度です。エタノールの場合にはアルコール濃度70%の時が効果が最も大きいとされていますが、それより低い場合でも時間をかければ殺菌効果が認められており、アルコール濃度30%では30分、20%では数時間程度かければ殺菌効果が期待できます。とはいえアルコールに長い時間手を漬けておくというわけにはいかないでしょうから、やはり適切な濃度のアルコールを使用した方が便利ですね。

 環境温度も重要で、温度が低いとき、例えば0℃以下では殺菌効果が低下しますが、これは低温環境で疎水性相互作用が強まるからと説明されています。

 アルコールの殺菌作用のメカニズムですが、40%以上では細菌類の細胞膜の破壊が起き直ちに死滅します。それよりも低い濃度では、膜の破壊こそおきませんが、細胞膜が変質し、中の成分が漏出したり、栄養の取り込みが阻害されたりし細菌が死滅します。

 エタノールの構造は水酸基とエチル基からなりますが、水の存在下では、水酸基による水素結合とエチル基による疎水性相互作用によりクラスター(塊り)を形成しポリマー状の構造をとります。この時の安定構造がエタノール:水=1:1の割合であり、そのエタノール濃度が70%となります。最初の方で最も殺菌効果の強いエタノール濃度は70%と書きましたが、それはこの構造のためです。

 以上アルコールの殺菌作用を化学的に眺めてみました。今日は午後からBCPに関するセミナーを開催します。東京塗料会館の玄関にも、会場の入り口にもアルコールが置いてありますので、どちらかで手を消毒して入室するようにしてください。空模様も怪しげではありますが、皆様のご来場お待ちしております。